メルカリの小泉取締役に聞く! ママとパパに優しい会社の作り方<前編>
今年2月。今や日本中で使われているフリマアプリを世に送るメルカリから、merci box(メルシーボックス)という、なんともハッピーな名前を持つ福利厚生制度が発表されました。
制度の中で特に注目を集めたのが、産休や育休など子育てに関わるパートです。メルカリでは、なんと産休・育休期間中の給与を会社が100%保障するというもの。
創業間もない会社が、なぜこんなにもママやパパを応援しているのでしょうか。保育とはまた違う立場から子どもや子育てについて考え取り組んでいるその背景について、同社取締役にしてご自身も新米パパである小泉文明さんに聞いてみました。
社員のリスクを負担する会社でありたい
産休・育休期間中の給与を保障する、というmerci boxの概要を聞いたときビックリしました!
フランスやドイツなど、海外では育休や産休に対する制度や政策が充実している国がありますが、日本ではまだこれからの部分も大きくて。そこに、創業間もない会社が取り組んでいくなんてすごいなぁ!と。
merci boxは、産休・育休だけにフォーカスした制度ではないんですけど、予想外に反響が大きくて、我々もビックリしています(笑)。
merci boxの内容はこちら
(1)社員の家族を含めた環境の支援
●産休・育休支援の拡充
産休・育休期間中の給与を会社が100%保障する制度です。安心して出産や育児に専念できる環境を整えています。
女性:産前10週+産後約6ヶ月間の給与を100%保障
男性:産後8週の給与を100%保障
●育児・介護休暇の有償化
子どもの看護および家族の介護で休暇を取得する場合は、5日間を特別有給休暇とし最大で10日間まで休暇取得が可能です。(1年あたり)
※merci boxには、産休・育休以外にも、様々なライフイベントに合わせた制度が取り入れられています(※上記はその一部です)。
その他の内容や詳細ついては、こちらをご覧ください。
改めて見てみると、いろんなライフステージに対応した制度が整っているんですね。
子育て面の内容においては、今色々な課題を抱えている保育業界以外でも様々な形でのサポートや取り組みがあって、社会全体で子どもや子育てについて考えている環境があることに心強さを感じるのですが、なぜこのような制度を打ち出そうと思ったのですか?
メルカリは女性の多い会社なんです。250名ほどの社員の約半分が女性ですし、特にカスタマーサポートは多くが女性です。彼女たちに将来にわたって目一杯仕事に励んで欲しいですし、色々なライフイベントを会社としてサポートしたいと考えたんです。
会社としてできるサポートって、シンプルに考えればお給料を上げるとかになりますよね。でも、それだけでなく、社員の人生のリスクの部分を負担してあげたかった。
なるほど。安心して働ける環境って、企業の歩み寄りが不可欠ですよね。
一般に産休は産前6週間前からですよね。ただ、自分の妻を見ていても、6週間前まで仕事をするのは、かなりキツいと感じます。
じゃあ産休を長く取ろうと思ったら、有給を取るとか、あるいは欠勤しなければならない。でも、身を削って出産するのは、ちょっと不自然ですよね。
であれば、メルカリなら産休は産前10週間にしましょう、と。さらに給与面でも、なるべく不安をなくしてあげたい。こうしてリスクを会社が負担することで、もっと大胆に働けるのではないのかなと思いました。Go Bold(大胆にやろう)とはメルカリのバリューのひとつでもありますから。
思いっきりボールド(大胆)に働けそうなメルカリさんのオフィス
妊娠・出産、子どもや子育てよりも、どうしても第一線で働く貴重な人的リソースを短期的にでも失いたくない。そこを優先して考える企業さんも少なくないと思いますが…。
メルカリに入社する前から感じていたのですが、産休後の社員は、みんな仕事のクオリティが上がっている。集中して仕事を終わらせて、帰って子どもとの時間を大切にしたいからでしょう。もちろん、この傾向は男性にも共通しています。それに責任感もすごく強くなる。
産休で戦力を失うのは確かにキツいですけど、産休・育休を通して、よりパワーアップした状態で帰ってきてくれるなら、会社としてもメリットです。短期的には確かにリスクかも知れません。しかし、長期的にはメリットの方が大きいと見込んでいます。