りんごの木のミーティングは、答えをひとつ出すためではなく、個を際立たせるためにある
保育の難しさについて
「りんごの木」で実践しているような保育は、よく「難しいでしょ」と言われるんですが、実際のところ気が楽なんです。今までは教師が100%考えて、教材を研究して、実践して…と、していたと思うのですが、シンプルに「子どものことは子どもに聞いてみよう!」と、「りんごの木」では子どもたちと一緒に保育や教育を作りあげているんです。
ただ、その一人ひとりの声の受け取りはすごく難しいと思っています。
言葉にこめられた想いや意味、言葉にならない部分、身体表現などを受け取るのはこちらの感度も試されます。
教員も生身の人間なので、生活の中で波もありますよね。その中で子どもとのどう向き合うかは試行錯誤しています。
辛かったことや、困難をどう乗り越えてきましたか?
保育現場って、職人の世界だから「見て学べ」ということがすごく多いんです。でも、それは、なかなか難しい。だから僕は「“ミーティング”の根幹を知りたい」と、「りんごの木」の代表・柴田愛子さんに対談を申し込み、わからないことをあれこれ聞いたり、自分の実践をまとめてそれを本にしました。
辛い時期を脱するとき、苦労をする人はたくさんいると思うんです。
でも、苦労と努力は違う。苦労は受け身ですよね。でも、努力には「発明」がある。どう心地よくするか、その人にあっている方法や、やり方があると思うんです。
僕の場合は、文章を書くことが得意だったから「本をつくろう」となったわけです。
子どもたちとの対話の先に描いていること、夢を教えてください
教育の場のなかで、子どもたち一人ひとりの声が響き合うような、そういった教育が実践されていけばいいなぁと思っています。その形態は“ミーティング”ではなく、身体表現でもいいと思います。
「子ども一人ひとりがこんなにしっかりとした声をもっているんだよ」と気付き合える空間が広がってほしいです。
溢れる緑と太陽の光を浴びて、駆け回る子どもたちをまぶしそうに見つめる青山さん。「りんごの木」には子どもたちの声が輝く飛沫のように響き合っていました。