関係がまざっていく、うどんづくり。うみのこのとって食ってつながる暮らしVol.10
この連載の舞台になる「うみのこ」は、神奈川県逗子市にある認可外保育施設。逗子の山と海に囲まれた小さな古民家で、3歳〜6歳までの28人の子どもたちが暮らしています。
そんなうみのこの暮らしに欠かせないのが、食べること。
海山の恵みをいただき、畑で野菜を育て、自分たちで料理する。
生産者、料理人、食べることに欠かせない人々とつながり、本物と出会う。
どんなふうにうみのこで“食べる”ことが起きているのか、一年を通してお届けしていければと思っています。
うみのこ × ごかんのもり 年長交流
今日は同じ逗子市にある「ごかんのもり」との年長組交流の日。
互いに認可外保育施設のため、園の規模は大きくない。だからこそ、小学校に進んだときに同じ園出身の子以外にも「知っている顔」が少しでもいると、子どもたちが安心して、新しい生活をスタートできるのではないか。そんな思いから、二つの園は数年前から交流を重ねてきました。
今年度も何度も一緒に過ごす時間をつくり、ごかんのもりにうみのこの子どもたちがおじゃまして、味噌汁をつくったり、たけのこ掘りをしたり、海で待ち合わせをして遊んだりしてきました。
今日はうみのこが場をひらき、うどんづくりで迎える一日です。
車座からはじまる、混ざる準備
「おはようー!」
「あっ、きたんじゃない?」
互いに少し緊張した面持ちで、朝の挨拶をかわす子どもたち。

まずは、車座になって朝の会。
「踊りながらつくるうどんは、うみのこの名物なんだよ。今日は一緒につくろうね!」
うみのこの年長担当スタッフのももちゃんが子どもたちに語りかけ、改めて互いを知るために自己紹介がはじまります。
名前と、好きな食べ物。それから、どこの小学校に行くのか。
「もうすぐ一年生!」という気持ちが生まれてきている子どもたちは、同じ小学校に行く子がわかると、自然と顔を見合わせます。

今日は、そのつながりを大事にしながら、うみのことごかんのもりでペアをつくり、うどんづくりをします。
食育スタッフさわちゃんが「うどん、つくったことある人いる?」と聞くと、ごかんのもりの子どもたちからも、元気に手が挙がります。
「うどんの材料はなんだっけ?」
「こな!」「しろいこな!」「こむぎこだよ!」
「そうそう、小麦粉!あと、うどんにはなにが入る?」
「みず!」
「正解。じゃあ、もうひとつは?」
「イースト?」
「おしい!イーストはパンを作る時に入れるやつだね。ヒントは、食べたときにどんな味がするか思い出してみて。」
「しお」
「そう、塩!」
うどんは、踏んで、のばして、たたんでをくり返すと、コシが出ておいしくなる。
「みんな、ほっぺくらいのなめらかさを目指してね!」
距離が縮まる、うどんづくり
小麦粉、水、塩を混ぜてつくった生地を袋に入れて、音楽に合わせてペアで交互にジャンプ。生地が伸びたらたたみ、それを、また踏むを繰り返します。

はじめは先生をあいだにコミュニケーションをとっていた子どもたちも、しだいに自然とペア同士で声をかけ合うようになっていく。
「なんかいずつとぶ?」
「つぎ、◯◯のばんだよ」
「いっぱいジャンプしてつかれたー」
と言いながら、どこか嬉しそう。

5曲分、生地をたっぷり踏むと、「やわらかくなってきた!」という声があがってきました。
次は、生地をのばす工程へ。
のばすときは、真ん中から、上へ、下へ、綿棒でぐっと力を込めて行います。やわらかくなった生地でも、意外と力のいる作業です。

「てがいたくなっちゃったよー」と言いながらも、表情は真剣。
少しずつ生地は薄くなっていき、十分にのびたら包丁で切ります。
3年間、それぞれの保育園で“つくる”を重ねてきた子どもたちは、包丁使いもお手のもの!手元に集中した、いい空気と時間が流れていました。


心も体も温まるうどん
できあがったうどんは、SHOfarm(「千年続く農業」を掲げ、環境再生型農業といわれる「不耕起栽培」に挑戦する横須賀にある農園)の白菜とネギを使って作った、けんちん風のおつゆへ。

ひと口食べて、
「かみごたえある!」
「おいしい!」
と声をあげる子どもたち。
踏んだ感触、暑さ、手に残る力の感覚。それらすべてが、うどんの味になって、身体に入っていく。
同じ釜のうどんを食べるころには、うみのこも、ごかんのもりも、園を超えて、自然とまざり合っていました。

うどんをつくる一日は、ただ食べものをつくる時間ではなく、人と人とのあいだを、少しずつほぐし、結んでいく時間でもありました。
こうして出会い、まざり合った時間が、子どもたちの中で、確かな手触りとして残っていくことを願っています。
うみのこのとって食ってつながる暮らし
この連載の舞台になる「うみのこ」は、神奈川県逗子市にある認可外保育施設。逗子の山と海に囲まれた小さな古民家で、3歳〜6歳までの28人の子どもたちが暮らしています。そんなうみのこの暮らしに欠かせないのが、食べること。海山の恵みをいただき、畑で野菜を育て、自分たちで料理する。生産者、料理人、食べることに欠かせない人々とつながり、本物と出会う。どんなふうにうみのこで“食べる”ことが起きているのか、一年を通してお届けしていければと思っています。
うみのこ