【書籍紹介】美育文化ポケット(造形・美術教育雑誌)

ほいくる編集部が保育者のみなさんにおすすめしたい一冊。
今回は『美育文化ポケット』をご紹介します。
美育文化ポケットは、幼児と小学生を中心とした幼年期の美術教育に焦点化した教育研究誌。年4回発行されています。
子どもに寄り添いながら“つくる”という一つの表現活動を共に楽しみ、味わい、大切にしていくためのヒントや学びがたっぷり詰まっています。
この書籍について
美育文化ポケット(造形・美術教育雑誌)
著:公益財団法人 美育文化協会
こんな人におすすめ
- 子どもの造形やアートに関心がある方(保育や教育に関わられている方)
- 子どもに寄り添いながら製作・造形活動を楽しみたいと思っている方
ほいくる編集部のおすすめポイント
とにかく、写真が盛りだくさん!
他の園の環境やようすを見ることは容易ではありませんが、本書には、さまざまな園の環境、子どもの姿、作品、その行程写真などが数え切れないほど掲載されています。
ハッとしたり、わあ…!とときめいたり、なるほど…と感じたり。子どもの世界を覗かせてもらっているような、頭で考える前に心が動くような、そしてそこからどんどん惹き込まれていくような、そんな書籍です。
写真を通じて、子どもの姿・つくること・表現することに触れ、その原点のようなものを感じると同時に、添えられたひと言や文章が、さらに思考を耕してくれます。
さまざまな視点で綴られた企画や連載
例えば、“こども自身の育ちたい衝動に応じ、明日をつくり出す力になっているかを絶えず振り返り、更新し続けることが大切”という考えのもと、たくさんの手がかりと共に紹介されている『カリキュラム・デザイン』。
こどものあそびや育ちを支えるさまざまな空間を巡り「場・空間・環境」を考える『アートin SPACE』。
子どもの姿を起点に展開されたさまざまな園の“あそぶ”“つくる”様子が紹介されている『実践ポケット』など。
そのほか、インタビューやレポートなど、たくさんの魅力的な企画や連載に溢れていて、1ページ1ページをめくる楽しさと、繰り返し開いて読みたくなる余韻を感じる方も多いはず。毎回、さまざまな発見や学びに出会うことができます。
「つくる」「あそぶ」を考える手がかりが散りばめられている
造形表現活動のカリキュラム・デザインを考えるにあたり、本書ではその手がかりとして、表現起点(はじまり)を「材料・環境から」「イメージ・思いから」「テーマや目的から」の3つに分けて紹介されています。
また、「発想(感性)」「工夫(創造性)」「かかわり」といったねらいや年齢など、子どもたちの心や姿を捉え、ねらいから見通しを持って援助・指導が行えるよう、活動内容と共に、細やかな手がかりが散りばめられています。
こうできたらなあ、こうしたいなあ、という思いを実際に子どもたちとの活動に繋げていくための心強い伴走になりそうです。
美育文化ポケットからのメッセージ
『美育文化ポケット』から、先生方のポケットへ……
届けたい造形教育のヒント
私たちは、こどもの表現活動を通してその真実に触れ、理解し、寄り添うことの大切さを学んできました。
しかし、ともすれば、見栄えのする作品や大人を喜ばせるための作品づくりに終始しているのではないかと疑わざるを得ないような保育や教育も少なからず見られます。
一方で、保育や授業の改善へのヒントとなる実践も少なくありません。
もっともっと、造形表現活動の教育的な意義、その具体的な内容や方法などを共有し合えたら……、一年間を見通しながら、こどもたちに寄り添ったカリキュラムづくりのお手伝いができたら……、
そんな思いから『美育文化ポケット』は生まれました。
こどもを言じ、受けとめ、理解し、そして導くためのヒントを、多様な視点から、先生方の「ポケット」へ届けたいと願っています。
編集統括責任 大橋功(和歌山信愛大学教授)
造形指導の可能性を探ってみませんか?
「造形指導って難しい」という声をきくことがあります。
「美育文化ポケット」はそんな先生の力になりたいと思っています。
「難しい」と感じる心には、どのこどもにとっても楽しい指導をしたいという気持ちがあるからです。
ただし「美育文化ポケット』は材料を入れたら見事な作品が出てくる魔法のポケットではありません。
同じ材料を入れてもそれぞれの表現が生まれてくる楽しいポケットです。
その中には、こども自身が自分の手で材料やイメージや発想をあたためて発言するプロセスがあります。
『美育文化ポケット』では、そこで生まれる育ちの物語を大切にするカリキュラムや実践を紹介します。
指先1本で操れる情報過多時代を生きるこどもたちが「かけがいのない自分」を実感できるのが造形体験です。一緒に造形指導の可能性を探ってみませんか?
槇英子(淑徳大学教授)
書籍名:美育文化ポケット
著:公益財団法人 美育文化協会
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HoiClueにて連載中!
2025年4月より、美育文化ポケットさんの企画『おすすめぞうけい』をHoiClueでもご紹介いただいています。
この記事の「ほいくる編集部おすすめポイント」で少しご紹介した『カリキュラム・デザイン』の要素も、垣間見えるかもしれません。
ぜひあわせてご覧ください。
紙相撲で遊ぼう〜美育文化ポケット『おすすめぞうけい』より〜#01
今回紹介するのは、型のある工作でオリジナリティーを競う「紙相撲で遊ぼう」です。
みんなさまざまな工夫を凝らして、絶対に負けないすてきな力士たちを作りました!
時には「競技」のような遊びも楽しい活動のひとつになります。
さあ、紙ずもう春場所のはじまり〜!