【書籍紹介】インクルーシブって、なぁに?〜子どもを分けない場づくり はじめの一歩〜
ほいくる編集部が保育者のみなさんにおすすめしたい一冊。
今回は『インクルーシブって、なぁに?〜子どもを分けない場づくり はじめの一歩〜』をご紹介します。
“一部の子どもたちを「特別」と考える視点から、すべての子が自分の居場所だと感じられるような環境づくりにどうすればシフトできるのか”を明らかにしてくれる書籍です。
この書籍について
インクルーシブって、なぁに?〜子どもを分けない場づくり はじめの一歩〜
著:フィリップ・ダウチ
訳:嶋村仁志
発行者:一般社団法人TOKYO PLAY
こんな人におすすめ
・インクルーシブな環境づくりに関心のある方
・子どもに関わる(子どもに関わらなくても)すべての大人
ほいくる編集部のおすすめポイント
わかりやすい例えが、考える手助けをしてくれる
書籍に綴られている説明に、その理解をより深いものにしてくれる、身近な出来事などの例えが織り交ぜられています。
例えば…
“インクルーシブは、様々な子どもが同じ場所で群れていればいいというものではありません。せっかく、様々な人が入り交じるパーティーに出かけたというのに、「みんなで一緒にいる」という感覚はまったくなかったという経験をしたことはありませんか?つまり、たとえ群衆の中にいても、ただそこにいるだけでは、他の場所と同じように、人は簡単に孤立してしまうものです。
私たちがパーティーで求めているのは、心から歓迎され、自分が他の人たちと同じように「居るべくしてここに居る」と感じられることです。そして、主催者や仲間が必要に応じて自分のことを気にかけてくれて、居心地よく過ごせるようになっていることではないでしょうか。誰もが、そこに自分の居場所があると感じたいのです。そして、その場の一人一人を気にかけている誰かがいると感じられることで、そこに自分の居場所があると私たちは感じるのでしょう。”
(第1章 インクルーシブってなぁに?:インクルーシブの重要な特徴 より)
“ベジタリアンの友人が、週末にあなたの家に泊まりに来たとします。あなたの家族は何でも食べ、死んだ動物の厚切り肉がなかったことはほぼありません。さて、その友人が来たとき、あなたはどのように食事を準備しますか?友人と特別扱いしたくないので、家族の一員のように毎晩のディナーに付き合わせますか?初日はローストビーフ、次の日はポークシチューというように。いいえ。もちろん、そんなことはしないでしょう。
あなたは、友人を歓迎したいのです。そして、友人が自分とはちがうということに敬意を払うでしょう。つまり、この違いを考慮するということこそが、友人を本当に歓迎する方法になるのです。
ここでみなさんが行うのが、「合理的配慮」というものです。”
(第2章 インクルーシブな環境づくりは、どのように実践すればいいの?:合理的配慮 より)
など。
なるほど、そういうことか、たしかに、…ということは?と、無意識だったことに向き合うきっかけや、さまざまな気づきに出会えます。
ポイントとなる部分が表現されたイラスト
例えにプラスして、ポイントとなる部分が要所要所でイラスト化されているのも、わかりやすく読み進められるこの書籍の特徴の一つ。(それも、ユーモア溢れるイラスト・・・!)
なんとなく頭で思い描いたり考えたりしていることを一目で具体的なイメージにしてくれます。
インクルーシブについて知るところから、環境づくりを実現する実践的なポイントまで
“障がいとは何か”という話から始まる第一章「インクルーシブって、なぁに?」。
続いて、陥りやすそうな考え方や議論になりそうなポイント、大事にしたい姿勢などを踏まえた、「インクルーシブな環境づくりはどのように実践すればいい?」という第二章。
そこから、その子と関わるうえで大切なことや具体的な方法(例えば、役に立つ質問をするということや、その子に興味を持ち関係を築いていくということ、一方通行ではないコミュニケーション、子どもに合わせて環境を変えていくということ、最初の段階では欠かせない「橋渡し」の役割など…)について綴られています。
書籍を通して得た気づきや学びを、実際に環境づくりへの一歩に繋げる、大きなヒントになりそうです。
発行者からの内容紹介
「インクルーシブ」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。障がいのある人や、その人たちのための場所や物を思い浮かべる人が多いかもしれません。
この本は、障がいの「ある/なし」で人を分けない、インクルーシブの基本的な考え方を分かりやすく解説した入門書です。一部の子どもを特別視せず、「誰もができる当たり前のこと」としてできるようにすることの大切さと、すべての子どもが「歓迎される」「心地よい」「自分の居場所と感じられる」環境づくりのポイントといったインクルーシブの基本が示されています。
保育士、幼稚園教諭、教員、児童厚生員、放課後児童支援員、プレイワーカー、公園管理者など、子どもに関わるすべての大人に読んでもらいたい1冊です。
イギリスの第一線で活躍している実践者として、インクルーシブについての普及啓発を行うPhilip Douch(フィリップ・ダウチ)氏が執筆した「The Busker’s Guide to Inclusion」を、子どもが自由に遊べる遊び場づくりに長年関わり、海外とのネットワークも広い当団体代表理事・嶋村仁志が訳した日本語版です。
非常に読みやすい本ですので、是非お手にとってみてください。
書籍名:インクルーシブって、なぁに?〜子どもを分けない場づくり はじめの一歩〜
著:フィリップ・ダウチ
訳:嶋村仁志
発行者:一般社団法人TOKYO PLAY
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