「風にのる、森にくらす」ー 風の丘めぐみ保育園(東京都世田谷区)
風の丘めぐみ保育園のコンセプトは「風にのる、森にくらす」。その言葉には、どんな想いが込められているのでしょうか。園見学とインタビューを通して、たっぷりとお届けします。
風の丘めぐみ保育園の暮らし
昨年、2022年に開園した風の丘めぐみ保育園は、乳児棟「風棟」と幼児棟「森棟」の2つの園舎から成り立ちます。
まずは、「森棟」へおじゃますると・・・今回お話をお伺いする大野じゅんさんと餅井香織さんが出迎えてくださいました。
左から、園長の大野じゅんさん、主任の餅井香織さん
棟の1階は、ランチルームとしても利用する多目的スペース。お伺いした日は、雲ひとつなくよく晴れた日で、大きな窓から風に揺れる葉が見えて、まるで木陰で休んでいるかのような気持ちの良さ。
ウッドベースの園舎、木のいい香りがする。
子ども、保護者、来客者…さまざまな人が出入りをするこの空間には、“おしゃべりのタネ”になるようなものを不定期で掲示しているのだそう。私たちが伺ったときには、「私のオススメする暑い夏を乗り切るスタミナ料理・食べ物」というテーマに、風の丘めぐみのスタッフのみなさんのオススメがたくさん貼り出されていました!
2階は、森棟で暮らす3〜5歳の子どもたちの保育室・・・と言っても、いわゆる一般的な保育室のように一つひとつのクラスが仕切られているのではなく、ゆったりと開かれた空間なのが印象的。
子どもたちは、ゆるやかに分けられたコーナーで自分の遊びを見つけ、じっくりたっぷりと楽しんでいました。
絵を描いたり粘土をしたりするための画材や素材がそろった「アートのコーナー」
椅子に座って落ち着いてパズルやカードゲームをすることができる「座って遊ぶコーナー」
ままごとなどの見立て遊びなどができる「おうちコーナー」
区切られた小さなスペースや腰をおろせる場所では、ゆっくりと本を読んだり、一人で集中して工作をしたりする姿も。
三方を壁に囲まれた小さなスペース。大人の死角にはなるが、子どもたちには大事な「子どもだけ」の場所。
OHPに映し出される様々なモノ。子どもの身近にあるものも玩具になる。
保育室の奥には、小上がりになった畳の部屋があり、そこではプロジェクターに海の映像を映して、身体を大きく動かしたり、自作のペープサートの海の生き物を動かしたりしながら、ファンタジーの世界を広げていました。
また、この畳のスペースは襖で仕切ることもでき、異年齢・縦割りで分けられたグループに分かれて活動するときには部屋を区切って使うこともできるのだそう。
この日もグループの集まりは、畳の部屋で行われていました。
続いて、乳児棟「風棟」へ。
風棟の玄関を入るとまず目に入ってくるのは、大きな土間スペースとその奥に広がる開けた空間。一歩中に足を踏み入れると、まるで古い日本家屋の住宅におじゃましたかのようなホッとした気持ちに。
土間で水遊びをする子どもたち。
事務所の前にウェルカムボードが・・・!嬉しいお心遣い、ありがとうございます。
子どもたちの作品と、シフォン生地の柔らかな布が風に吹かれて気持ちがいい。
風棟は、1階に1歳児クラス、2階に0歳児クラスと2歳児と学年ごとに部屋が分かれていますが、それぞれの気配を感じられるような建物の造りもとても印象的でした。
2階のそれぞれのクラスには、大きなガラス窓が。部屋の中にいる子どもたちはここから他のクラスの子どもたちの様子や保護者の送り迎えの様子を眺め、また、他の子どもたちもここの窓を見てそこに映る子どもたちに関心を寄せる。
2階の庭は、0歳児クラスと2歳児クラスそれぞれの保育室から行くことができる。
風の丘めぐみの暮らし
食べるをつくる、食べるを楽しむ
庭で育てている野菜はどのように大きくなっているのか、その過程を写真におさめて廊下に掲示する。食べるだけではなく、育てる喜びもみんなで共有。
森棟のランチルームに置かれたさまざまな「箸置き」。子どもたちは毎日好きなものを選んで使う。食事の時間がより楽しみになる小さな暮らしの工夫。
手作りの醤油を仕込み中。顔を近づけると麹の甘い香りがしてくる。
ドキュメンテーション
森棟も風棟も、子どもたちの作品の横にドキュメンテーションが添えられているものが多い。「結果より過程を。」という風の丘めぐみが大切にする想いを、ここからも強く感じる。
ゆっくりコーナー
絵本を読んだり、ごろごろしたりできる「ゆっくりコーナー」がどの保育室にも必ず用意してある。
じっくりとお話を伺ったインタビューは、後編でお届けします。
撮影:雨宮みなみ
写真の一部ご提供:風の丘めぐみ保育園
この記事の連載
「遊びと暮らしを大切にするとは?」開園二年目の風の丘めぐみ保育園の保育と向き合う日々。
保育者の柔らかな眼差しのなかで、のびのびと遊ぶ子どもたち。
昨年2022年に開園したばかりとは思えない、風の丘めぐみ“らしさ”を感じる時間と空間。
風の丘めぐみの保育はどんな想いから成り立っているのか、園長の大野じゅんさんと主任の餅井香織さんにお話を伺いました。