こんな時どうしよう!と感じる子どもの「あるある」どうしていますか?〜柴田愛子さんへのみなさんの回答とせんせいゼミナール『現場の子ども学』のようす〜
寄せられた回答と、セミナーでの愛子さんのお話の一部をご紹介します。
今回の愛子さんからみなさんへの質問
こんな時どうしよう!と感じる子どもの「あるある」は?
0〜1歳児
・なんでもかんでもイヤー!
・噛みつき。
・着替えやおむつ替えを嫌がって逃げようとする。
・午睡の時、1人の子が声を出して大はしゃぎすると皆んな連鎖してしまう。
・給食の途中で眠くなってしまい、後半になると食べられない。
少し眠らせてあげたいけど、保育士の人数や環境などから個別対応をするのが中々難しい。
2歳児
・部屋を走り回る。
・散歩に行って、帰りに手を繋ぎたがらない子、歩かなくなってしまうこと。
・「トイレにいこうか?」「イヤ!」、「お片付けしようか」「イヤ!」と言って活動ごとの切り替えがむずかしい。
・次の活動、遊びの前に片付けをしない。
・給食前に中々遊びを切り上げられず、席につかない。(食べる気にならない)
・『ちんちん』などの言葉が楽しかったり、『交通事故』『地震だ!』など、あまり遊びにしてほしくないことで遊びになってしまいそうなとき。
3歳児
・席に座ろうとしない。立ち歩いてしまう。
・室内を走り回る、友達を押す、蹴る。
・「かしてっていったのに、かしてくれない!」と訴えるこども。
・『~やりましょう』と誘ったり、促したりの声かけに、全て、『いや!やらない』といいます。
・歌の時間に自分の髪の毛を舐めて歌わない。
・活動の途中でトイレについて来てと何度も言われる。
4歳児
・双六などのルールのある遊びで、負けたくなくてズルをしてしまう。
・友達のやっていることを逐一報告に来る。「先生~!◯◯ちゃんが、ちゃんと座ってない!」
・わざと友達の嫌がる事をする。
・お昼寝のとき「寝たくない」となかなか寝ないのに、寝たら寝たで「まだ起きたくない!!」
・いざお迎えがくると「帰りたくない!」と行ってすぐに帰らない。
・どうして、掃除しなくちゃいけないの?どうして片付けなきゃいけないの?時間を決めちゃうの?と言われたとき。
5歳児
・好きなことは全力、したくないことは絶対にしない子。
・自信がない。
・嘘をつく。
・子ども同士での喧嘩(言い合い)の時に嘘をどーしてもついてしまう子どもがいる。信じてあげたいけども「嘘つき」とは断定したくないし。
・〇〇くんのこと嫌いな人手をあげて~っと。はじめは好きなもの一緒の人で手をあげてクラスは楽しそうですが、時々「嫌いな人~」のワードが出てきてしまう。いった本人はケロっとした顔をしているのはなぜ?
寄せられた回答を受けて
愛子さん:
もともと、どうしてテーマを「あるあるどうしてる?」にしようと思ったかというとね・・・
子どもたちを見ていると「え〜!」と、想定外のことが起こるじゃないですか。こんなことしちゃってるし、あんなことしちゃってるし、でも楽しそうだし…って。大人の価値観とか考え方とか習慣と全く違うことを子どもがやり始めた時に、「あらま〜!」ってまず思うじゃない?それで、おもわず笑っちゃうことって多いんだよね。
例えば、最初の頃りんごの木では、クレヨンをおろし金でゴリゴリやり始めちゃった子がいて。これはいい?いけない?でも駄目ってほどではない?って、いうことがあったのよね。
子どもたちと暮らしていると、「どうしてできないのかしら?これって、何度言ってもできない年齢なの?」「何て言ってもやっちゃう年齢なの?」とか、戸惑う日常があるじゃない?
正しいとか正しくないとか、意味があるとかないとかじゃなくて、日常の暮らしのなかには、怒っていいのか笑っていいのか、止めるべきか止めないべきか、っていうそういうなんだか教科書のスキマみたいなことがいっぱいあるな。みんなは、このあるある、どうしてるのかしら?って、現場のみなさんたちと共感したいと思って、今回このテーマにしたわけです。
でもそうしたら、アンケートでは困っていること相談みたいなものが多かったの。アンケートの書き方がそうさせちゃったのかもしれないけど、でも、困っていることを困らなくするのではなくて、困ったことを一緒に困って、「これって意味あるのかしらね」って、正解のない園生活というか、そんなことをお話できたらいいなと思います。
***
『現場の子ども学』オンライン講座のようす
「どう育てたいかではなくて、どう育とうとしているのか、という、子どもをもっとを見てみようと思ったので、よほど迷惑じゃなくて、よほど危なくなかったら、まぁいいか…って眺めることにしたわけです。そうしたら、40年前からこんなことが始まって。これね、顔にサインペンで描いているの。お宅の園に、こういう子っていません?(笑)」
という、まさに「あらま〜!」と思うような子どもの姿からお話がスタート。
3歳、4歳、5歳とそれぞれの年齢や成長にまつわるエピソードとあわせて、今回HoiClueに寄せられたアンケート回答にもたくさん触れながらお話いただきました。
「日々正解も不正解もないできごとばかりに頭を悩ませることが多いかもしれないけれど、でもだからこそ楽しいのかもしれません。(中略)子どもたちにいいことだけを注ぎ込んでいくのではなくて、私たちも生身の人間だからこそ、共に育ち合っていける。そして、共に、あるあるを楽しんでいけるんだと思う。だから、子どもってこういうことあるよね、と思いもかけないことがあったときに笑い合えるくらいの保育者関係が作れたらいいなって。あるある、と笑いながら、困ったなぁと笑いながら、いい塩梅の保育をしていただけたらうれしいなと思います。子どもたちにもきっと、おとなの「あるある」が見えていますよ。」
という、愛子さんのあたたかいメッセージで締めくくられ、明日の子どもたちとの日常が楽しみになるような、そんな余韻の残る時間でした。
次回のお知らせ
次回の開催は、10月24日(火)です。
今回もまた、愛子さんよりみなさんへ質問をさせていただいていますので、ぜひみなさんの声をお寄せください。
ちょっと困った子が、クラスにいますか?〜せんせいゼミナール『現場の子ども学』 ✕ HoiClue企画)〜
次回のテーマは、「ちょっと困った子・気になる子をどうしましょう?」。
みなさんは、みなさんは、ちょっと困った子が、クラスにいますか?
質問は、イベントの申込み有無に関わらずどなたでもお答えいただけます。
(もちろん、講座へのご参加も大歓迎です。質問への回答を元にした愛子さんのお話を予定していますので、お楽しみに!)
※回答受付期間:2023年10月10日(12:00)
【せんせいゼミナール】現場の子ども学 ~保育に効くビタミン剤~ <第7回>
テーマ:ちょっと困った子・気になる子をどうしましょう?
みんなと一緒に行動ができない子、指示が通じない子がいて保育がしづらいという話をよく聞きます。同時にその子のためには、どうしてあげるのがいいのかと悩みます。
昔、ある子が「朝起きたら歯を磨く」事が好きになりました。川遊びのキャンプに来たのに、ひらすら歯を磨いていました。大人になった彼女は「あのとき、りんごの木の大人は決して歯磨きをやめさせなかった。それがうれしかった」といいました。遠足や行事の思い出は忘れても、自分を肯定されたという経験は忘れないものです。
発達障害のあるなしに関わらず、心に留めておきたいたったひとつのこと。それをお話ししたいと思います。