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運動会は、楽しいですか?〜柴田愛子さんへのみなさんの回答とせんせいゼミナール『現場の子ども学』のようす〜

雨宮みなみ
掲載日:2023/08/22
運動会は、楽しいですか?〜柴田愛子さんへのみなさんの回答とせんせいゼミナール『現場の子ども学』のようす〜
連続オンライン講座『現場の子ども学』(せんせいゼミナール)に寄せて、りんごの木子どもクラブ代表、柴田愛子さんからみなさんにさせていただいた質問。

寄せられた回答と、セミナーでの愛子さんのお話の一部をご紹介します。

今回の愛子さんからみなさんへの質問

運動会は楽しいですか?

「どちらともいえない」と答えた方が一番多く、続けて「楽しい」と答えた方が多い結果となりました。

「楽しい」と回答した方の理由

・子ども達と一緒にチャレンジすることがワクワクする。

・みんなで協力したり、普段見せない笑顔が見れるし、大人も子ども関係なく盛り上がりますね。

・子どもと相談し、子どもの意見を取り入れながらやっています。子どもと共に作り上げていく過程が楽しいです。

・保護者も子供も先生も盛り上がるし終わった後の達成感が楽しいです。

・家族や大勢に見られている中で走ったりダンスをしたりするのは、緊張はするけどその分達成感があるから。

・子どもたちが全力で楽しんでいるのが伝わるから。

・クラスや学年で練習した成果を出せる場所だし、普段のお友達との関わりも見れるから。

・子どもたちの楽しい顔がみられるのと、達成感を感じられるから。

・園全体で、子どもの成長を感じることが出来るから。

・子どもたちのいろいろな成長、表情が見られるから。

・子ども達と作戦を考えながら、競技に臨み、勝ち負けがあっても、それらの過程を大事にしているから。その中で色んな発見や、成長が見られるから!

・子ども達の心の成長がたくさん見られるからワクワクします。

・クラスや学年の団結力もあがり、子どもたちもぐーんと成長する機会になるから。

・親子で一緒に触れあえるので、子どもたちの笑顔が最高だから。

・子供達の一生懸命頑張る姿を見られるから。また、家族の方に応援してもらい、嬉しそうな表情を見られることができるから。

・子どもたちと、運動会でしたい事や、保護者に見てもらいたいことを話し合って決めて、取り組み、出来ない事でも、友達同士で励ましあったり、作戦会議をして、どうしたら勝てるのか試行錯誤しながら、頑張ったり楽しんだりしている姿が見られるから。また、当日いつにない緊張の表情をみせながらもいつも以上の力が発揮出来る姿に子どもたちの無限のチカラを感じるから。

・勝ち負け云々よりも、運動会当日までの過程でどれだけ頑張ったかで、当日思いっきり諦めずに頑張れること、仲間と力を合わせられることが楽しいから。

・職員のチームワークを感じ、士気が高まり、子ども、保護者との一体感が得られるような行事な為。

・保育園の一体感!楽しんだもん勝ち🏅だと思います。

「楽しくない」と回答した方の理由

・子どもが楽しめるというより、見せるためになっているから。

・見せるための運動会になっていて、保育者の負担が多い。

・やらされてる感を拭えない気持ちが強く、子ども達のための運動会というより、保護者のための運動会になっているから。

・暑い中練習させて形にして行かないと、結局指導の仕方を指摘される。保育者は、さらに厳しく、練習して形にしていく。これって意味あるのかな?子どもにとっても、先生にとっても、って思ってしまいます。

・嫌がる子どももいるわけで…

・練習が大変だから。

・園以外の場所でやるので普段の姿は見せられない。

・何度も同じ練習をして、子どもを見ていると楽しそうな子もいる反面、一定数いつも、辛い子がいるから。

・準備や練習が大変。

・保育士として完成度を求められたり、子供主体といってもある程度のクオリティが求められるのが辛い。

・テーマが決まっている。自分のやりたいことを全て否定される。

・保護者の評価が怖い。

「どちらともいえない」と回答した方の理由

・上からのプレッシャーを感じると楽しくない。プレッシャーを感じないようにがんばったら少し楽しい。

・プレッシャーもある。子どもに何度も練習させてるのもつらくなるときもある。終われば達成感はある。なので、楽しいか楽しくないかと聞かれると、どちらとも言えない。毎年なにをやるか考えるのもきつい。

・年長になるとやらなきゃいけないことが増え、他の年の年長児の出来栄えと比べられ大人がプレッシャーでした。近年は流れが変わってきて子どもたちと話し合いをして競技を決めています。

・感動はあるが、練習が暑い。

・運動会が終わったあとには、達成感や勝ち負けの喜びや悔しさを感じ良い経験に繋がるが、練習時は子どもたちに無理をさせてしまう面がある。

・運動会自体は楽しくて好きだが、準備、練習等が続くと、子どもたちも職員も疲れてきてしまう。

・達成感を感じられた時は楽しいと思うが、準備や練習等の負担が大きくストレスが溜まる。そのため、運動会前の保育が粗末になってしまうことがあり、それもまたストレスに感じてしまう。

・園長や保護者の期待や要望に添った演技や種目を考えなくてはならないので、子どもたち主体の行事にはまだまだ遠いです。それでも当日の子どもたちの頑張りには心が動きます。

・遊戯を考えたり教えたりするのが苦手なので。当日楽しんでいる子ども達を見るのは嬉しいです。

寄せられた回答を受けて


愛子さん:
私、幼稚園に勤めて初めての運動会の時に4歳児担任だったんだけど、並ぶことさえよくできない子どもたちが運動会なんて…と思ってね。それも、9月入ると早々に練習が始まって1ヶ月半くらいやるわけですよね。そこへもってきて、隣のクラスは主任さんの部屋だったわけ。あっちはできるのよ。で、こっちはできないのよ。それでもうほんとうに、なんのためにこの運動会をやるんだろうと、まさにプレッシャーでした。
その時は入場門や退場門があって、いわゆるパレードをして入っていって、そしてみんなで体操をやったり、まあるくなってお遊戯をしたり。いろんな思いがすごくあったんですけど、でもそうやるもんだっていう頭もあったんですよね。

今回のアンケート結果では、37%の方が楽しいっておっしゃってるわけじゃない?きっとこの方たちも何かの工夫をなさったりやり方が違ったりするんだと思うのよね。
私の幼稚園のスタートは、いわゆる、プログラムを組んで、その通り子どもを動かして、みんなが訓練の成果を見せる運動会だったと思うんです。それこそ楽しくないという21.3%の方たちと同じように、「またこの時期がやってきた」と私も苦しかったんですけどね。でも、せっかくの保育のそれなりの時間を費やすのだから、もっと楽しいものに考えを変えるとか、子どもと変えていくとか、ちょっとでも子どもと共に有効な時を過ごすようになれたらいいなと思って、今日はお話しさせていただきます。

***


『現場の子ども学』オンライン講座のようす

講座では、「みんなが楽しめる運動会って?」をテーマに、りんごの木での子どもたちのさまざまなエピソードに触れながら話してくださった愛子さん。子ども自ら参加した先に「仲間」がいる、ということの大きさ、あたたかさを感じた時間でした。

まとめのなかで、

・運動会を、披露するもの、比較するための行事にせず、子どもたちがそれぞれこんなに違うという個が見えるようにするとおもしろい。(そのために親をひっぱりだす。)

・参加した人が、「あ〜たのしかった。おもしろかった!」と思えるのが大事。

というお話も。

「こんなところで励む姿を見せたくない、という子だっている。子どもの心を掴むのが大切。」といったアドバイスも、心に留めておきたいなぁと感じたお話でした。

運動会というとなんだか自然と肩に力が入りがちな気がしますが、終了後には不思議とほっこり、やさしい気持ちになっていたのが印象的な講座でした。

次回のお知らせ

次回の開催は、9月26日(火)です。
今回もまた、愛子さんよりみなさんへ質問をさせていただいていますので、ぜひみなさんの声をお寄せください。

子どもたちの『あるある』どうしてる?〜せんせいゼミナール『現場の子ども学』 ✕ HoiClue企画)〜

次回のテーマは、「子どもたちの『あるある』どうしてる?」。
みなさんは、こんな時どうしよう!と感じる子どもの「あるある」どうしていますか…?

質問は、イベントの申込み有無に関わらずどなたでもお答えいただけます。
(もちろん、講座へのご参加も大歓迎です。質問への回答を元にした愛子さんのお話を予定していますので、お楽しみに!)

※回答受付期間:2023年8月27日(12:00)

詳細はこちら

【せんせいゼミナール】現場の子ども学 ~保育に効くビタミン剤~ <第6回>



テーマ:子どもたちの『あるある』どうしてる?

たとえば「3歳児のわがまま」。嫌いなものは嫌い、仲良くしたくない、誰にも渡さないなど、自己主張で絶叫している彼ら。
また「4歳児の夢と現実のギャップ」。ファンタジーの世界で遊べる彼らは、一方で現実の自分の力量が届かず癇癪を起こします。ともかく一番が大好き。
あるいは「5歳児の闘争心」。強く格好いいことに憧れる彼らは負けず嫌い。自分を正当化するために嘘をつき、いじめのような現象を起こすことも。ともかくお金が好き。
そんな発達による「あるある」の違いを把握して、どう対処するかを考えます。
「現場の子ども学」の実践編を学べる回です。

詳細はこちら