子どもに対しての園のルール、多いと思う?〜柴田愛子さんへのみなさんの回答とせんせいゼミナール『現場の子ども学』のようす〜
寄せられた回答と、セミナーでの愛子さんのお話の一部をご紹介します。
今回の愛子さんからみなさんへの質問
子どもに対しての園のルール、多いと思う?
「思う」と答えた方が、半数以上という結果でした。
もしも「なくしたいルール」があれば、“1つだけ”教えてください。
生活に関する「なくしたいルール」
・朝の会に絶対参加しなければいけないルール。
・食事、睡眠、排泄の強制。
・時間割。
・午睡時間。
・3時までお布団で頭ぺったん。
・お昼寝の時間が決まっているのも不思議です。起きているのに決まった時間まで布団にいなければいけないのは子どもにしたら辛いのでは。
・順番待ちのトイレ。
・トイレの時間です。おしっこが出てようと出てまいと同じ時間にトイレに行く、行かせること。もちろん習慣化も大切だけれど、「でてないよ」「さっき行ったから今はないよ」とこどもが教えてるのに「でもトイレの時間でしょ」って呼びかけるのがホントにいやです。
給食に関する「なくしたいルール」
・みんなで一緒に頂きますとご馳走様の掛け声。
・みんなが揃ってから、いただきますの挨拶をする事。それまでは絵本を見て待ちます。
・「いただきます」を待たないのに、ご馳走様を一緒にすること。
・好き嫌いはできるだけなくす。
・給食のとき、ごはんにおかずを乗せて食べてはいけない、というルールがあります。好きに食べさせてあげたらいいのに、と思います。
・果物を食べる順番。
・給食の完食主義。
・給食のおかわりは残してはいけない。
・給食を先生に見せて、終わっていいか許可を取る。
あそびに関する「なくしたいルール」
玩具について
・玩具を本来の用途以外に使ってはいけない。
・種類の異なる玩具を混ぜて遊んではいけない。
・二種類の玩具を混ぜて遊ばない。
・おもちゃを分け合って使う。
・オモチャの個数制限。
・作ったおもちゃをその日に片づける。
室内遊び
・遊びを限定する。
・先生が決めたおもちゃで遊ぶ。
・ミーティングの為に子供の遊び時間を減らす。
・水は遊びでつかわない。
・折り紙1人1日3枚まで。自由時間に使用できるのは、4,5歳児のみ。他クラスは、制作等で、保育士が出す時だけ。
・乳児クラスは絵本は大人が読み聞かせするのみで、自由に手に取れないこと。
・未満児のお部屋で、環境的に移動させられる玩具や遊具をそのままにして、「〇〇には触りません」とするルール。そんな無茶な、かわいそうに、と思ってしまう。一般児ならその時その時のルールの中であそぶ、も成長を考えると必要とも思う。
戸外遊び
・遊具は年齢に合わせて制限をかけている。(ジャングルジムの段数、登り棒の高さなど)
・鉄棒をくぐってはいけない。
・すべり台を下から上るの禁止。
・砂場で水を使用してはいけないルール。
・園の砂、石は持ち帰らない。
・うちの園は雨上がり、園庭がぬかるんでいる場所があれば、出て遊ぶことができません。泥遊びとか、水たまりを飛び越すとか、雨上がりならではの自然遊びが出来ると思うのですが。
・今の園は泥んこ遊び禁止です。
服装に関する「なくしたいルール」
・靴下は脱がない。
・園庭を裸足で歩いてはいけない。
・2歳児クラス以上は上履きを履かなくてはいけない。
・制服があることで、登園後、降園前に着替えの時間が必要となること。
・髪飾り禁止。
そのほかの「なくしたいルール」
・「ごめんね」「いいよ」。
・きちんとしなさい。
・ローカを走ったらやり直し。
・幼稚園を汚す。
・名前の呼び捨て、あだ名禁止。
・順番に並ぶ。
・クラス編成。
・行事。
・以前からやっているからという理由で決めている事。
なくしたいルールのなかでも、特に「あそび」と「給食」にまつわるものが多く寄せられました。
反対に「絶対にあったほうがいいと思うルール」があれば、教えてください。
時間に関する「絶対にあったほうがいいと思うルール」
・時間に関するルール。
・登園時間、降園時間の決まり。なかったら困る。
・◯時までに登園。休む時は連絡。
安全に関する「絶対にあったほうがいいと思うルール」
・安全面に関するルール。
・子どもの安全に関わるようなルール。
・安全性に欠ける場合のルール。
・危険防止のルール。
・園から勝手に出ない。
・お部屋の中では走らない。安全確保のために、必要不可欠です。
・フード、チュールのついた服の禁止。
・駐車場では手を繋ぐ。
・道路の歩き方等の命に関わること。
・防災に関しては基本的なルールがあった方が良い。
・避難時の合言葉が聞こえたら、すぐに先生の言う事を聞く。
そのほかの「絶対にあったほうがいいと思うルール」
・人を傷つける事。自分も含めて。
・道具を使って人をきずつけない。
・自分の命を大切にする!
寄せられた回答を受けて
愛子さん:
すごくいろんな園がありますよね。そしてすごくいろんなルールがあるなと思いました。
それでね、なくしたいルールのなかに、「果物を食べる順番」っていうのがあるじゃない?
私が最初に勤めた幼稚園のときの話なんだけど…
お弁当箱を開けた途端に果物から食べた子がいたの。だから私がね(私だって平均的な大人ですからね)、「それはお弁当を食べてから、後にしてね。」って言ったの。そうしたら隣に座っている子が、「なにから たべたっていいじゃん!」って。
「えっ…そうだよね…この子のお弁当だもんね。そうだよね…。」って思って、その子どものひと言で「すみません、お弁当箱開けたら(果物が)見えちゃったんだからしょうがないよね。これは失礼しました。」って。そこからは言わなくなったわね。
今回のアンケートを拝見して、それぞれに何を大事にしたいかというのがとても伝わってきて、みんなすごくいい人たちだな、誠意ある保育者だなぁって私思っちゃった。それがとてもうれしかったです。
***
『現場の子ども学』オンライン講座のようす
3回目は「ルールはだれのもの 大人の常識・子どもの常識」をテーマに、みなさんに参加いただいたアンケートにもじっくり触れながらお話をお伺いしました。
「迷惑を掛けさせない、危険があっては困る…ストッパーはおとな?」「子どもの自然体はおとなにはありえない。ほっておくとこうなっちゃう、きちんとしつけたほうがいい?」「電信柱にいたずら書き。思いがけないことが始まった!さあ、どうしよう?」といった話など…
他にも、ここには書ききれないほど学びあるお話がたくさん。個人的に特に印象に残っているのは、「ルールにしたら気持ちは伝わらない」というエピソードでした。
ルールが奪っているもの、たくさんありそうです…。
愛子さんのオススメは、「うちにはどんなルールがあるかしら?」と一度書き出してみること。書き出すことで、いろいろな発見があるかもしれません。
次回のお知らせ
次回の開催は、6月27日(火)です。
今回もまた、愛子さんよりみなさんへ質問をさせていただいていますので、ぜひみなさんの声をお寄せください。
子どもたちとミーティングしている?〜せんせいゼミナール『現場の子ども学』 ✕ HoiClue企画)〜
次回のテーマは、「ミーティングの土台」。
みなさんは、子どもたちとミーティング(サークルタイム、こども会議など)していますか…?
質問は、イベントの申込み有無に関わらずどなたでもお答えいただけます。
(もちろん、講座へのご参加も大歓迎です。質問への回答を元にした愛子さんのお話を予定していますので、お楽しみに!)
※回答受付期間:2023年6月6日(12:00)
【せんせいゼミナール】現場の子ども学 ~保育に効くビタミン剤~ <第4回>
テーマ:ミーティングの土台づくり
「ミーティング」「サークルタイム」「子ども会議」と呼び方はさまざまですが、いま保育界では子どもたちによる話し合いが大人気。愛子先生は32年も前からその実践に取り組んでいます。のちに青山誠さんが一緒にやるようになりました。
このブームでこれから始めようとしている園は、まずミーティングのノウハウを知ろうするところが多いそうです。しかしおふたりは言います、本当のミーティングは、それを成立させる「土台」がなくては成立しません。
はたして「土台」とは何なのか、対談していただきます。