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子どもと大人。あなたの立ち位置は?〜柴田愛子さんへのみなさんの回答とせんせいゼミナール『現場の子ども学』のようす〜

雨宮みなみ
掲載日:2023/04/06
子どもと大人。あなたの立ち位置は?〜柴田愛子さんへのみなさんの回答とせんせいゼミナール『現場の子ども学』のようす〜
2023年3月からスタートした連続オンライン講座『現場の子ども学』(せんせいゼミナール)に寄せて、りんごの木子どもクラブ代表、柴田愛子さんからみなさんにさせていただいた質問。

寄せられた回答と、セミナーでの愛子さんのお話の一部をご紹介します。

今回の愛子さんからみなさんへの質問

あなたは保育をしているとき、どの位置にいますか?(1を子ども、10を大人とします)

回答結果では、3〜7のあたりの数字を選ばれた方が多くいらっしゃいました。

1で答えた理由を聞かせてください。

子どもに近い数字(1〜3)を選ばれた方の理由

・こどもと対等でいたいから。

・子どもと同じ目線で物事を見たい感じたい思いから、子ども寄りの位置に居るように意識しています。

・子どもに溶け込んで子どもの声を聞き、次につなげたいと思っているから。

・「3」くらいが、子どもの目の前にいる、子どもの代弁者としての立ち位置かな、と思うため。

・子どものことを知りたい、子どもから学びたい。と子どもをひとりの人間として考えているから。

子どもと大人、真ん中あたり(5〜6)の数字を選ばれた方の理由

・一つの数字しか選べなかったので、少し真ん中を選びましたが、本当は、その時々で離れたり近づいたりを繰り返しているような気がします。

・子どもの感じ方や考え方に寄り添えるように、保育中は感覚を子どもに近づけつつ、保育者としての感覚も大切にしたいからです。

・子どもたちのやってみたい!楽しい!嬉しい!悲しい、嫌だ…などの気持ちを、一緒に思いきり感じたいからです。 一方では、保育者としてどのように関わるかを考えながら過ごしているので、全体的には5の位置だと思います。

・一緒に遊べる友だち。ちょっと物知りな友だち。でも、困ったときにはちゃんと頼りになる大人。

・パート保育士です。子どもの遊びに混ざるときはほぼ同じ目線になってしまいますが、見守る気持ちが一緒に遊ぶ気持ちより少し強い、という感覚で6です。 もう1、2歩引くべきかなと思うことがあります。

大人に近い数字(8〜10)を選ばれた方の理由

・0歳児担当です。全員が1歳になっているとはいえ、まだまだ危ないことばかり。一緒に遊んでいても次はこうなるのでは?!と気が抜けないので大人の割合が多いと思います。

・どこか大人目線というか、寄り添っているつもりではあるけど、線引きしてしまっているような感じがするから。

・大人の意識を持っていないと、危険が回避出来ないから。

・子どもと同じように発見や気持ちを共有し喜びたいが、周りの子の様子や危険がないかなどにも気を配る必要があるため、色々なことを考えながら保育に当たっているから。

・常に子どもの安全に気をつけたり、全体の動きをみたりしている。でも子どもの気持ちに寄り添って一緒に楽しむことを忘れないようにしている為。

ほんとうは、どう在りたいと思っていますか?

子どもと大人の真ん中を位置する「5」の数字を選ばれた方が一番多く、先程と比べると子どもに近い位置の数字を選ばれた方が多い印象でした。

寄せられた回答を受けて

愛子さん:
この結果を見て、ちょっとうれしかったのね。というのは、やっぱり保育って、子どもの気持ちを無視して、子どもの感度をなくして、していくということができないじゃない?
でも、大人をなくしても保育はできない。

私ね、だんだん自分の中の子ども側のパーセンテージが多くなってきている気がするのね。子どもを分かれば分かるほど信頼しちゃう、というのかしら。子どもの仲間になれていく、というような…まぁ歳をとったというのもあるのだけどさ(笑)

役割・仕事として大人の目しか持っていないと、大人も子どももしんどいなぁと思って…

今回このアンケートを拝見して、立場もあって大人の役割も捨てられないし、でも本当は子どもの気持ちも分かりたい、もうちょっと子ども寄りがいいかなぁとか、きっとそういうところなのかなと思いました。

***

事前にアンケートを共有した際に、愛子さんから“心は子ども、頭は大人”なんていう言葉も出ていて、それもまた印象に残るひと言でした。


『現場の子ども学』オンライン講座のようす

1回目は「こどものみかた〜私の基本姿勢〜」をテーマに、愛子さんご自身が辿ったこどもの見方や保育者になろうと思ったルーツ、戸惑ったこと、そしてそこから今の保育にいたるまで。そして“心に添う”ということ、やりたいことで育っていく子どもの姿など、たくさんのエピソードを通してお話を伺いました。

おもわずうなずいたり、顔をほころばせたり、メモを取ったりとあっという間の1時間半。参加者の皆さんから事前に寄せられた質問にも答えていただき、盛りだくさんでした…!

次回のお知らせ

次回の開催は、4月25日(火)です。
今回もまた、愛子さんよりみなさんへ質問をさせていただいていますので、ぜひみなさんの声をお寄せください。

子ども同士のコミュニケーション、手を出すケンカはありだと思う?

今回のテーマは、「子ども同士のコミュニケーションの形」。
みなさんは、子ども同士のコミュニケーションの形として、手を出すケンカはありだと思いますか…?

質問は、イベントの申込み有無に関わらずどなたでもお答えいただけます。
(もちろん、講座へのご参加も大歓迎です。質問への回答を元にした愛子さんのお話を予定していますので、お楽しみに!)

※回答受付期間:2023年4月11日(12:00)

詳細はこちら

【せんせいゼミナール】現場の子ども学 ~保育に効くビタミン剤~ <第2回>

テーマ:子ども同士のコミュニケーションの形

日々ドラマがある子どもの世界。1日1円で友達から「優しさ」を買う子ども、大事なカエルを友達に献上して後悔する子ども、子どもたちなりの論理が織りなす多様なコミュニケーションの姿。生の人間(子ども)の姿にはっとしたり驚いたり、子どもの隣にいなくてはけっして見えないことがあります。

詳細はこちら