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子ども同士のコミュニケーション、手を出すケンカはありだと思う?〜柴田愛子さんへのみなさんの回答とせんせいゼミナール『現場の子ども学』のようす〜

雨宮みなみ
掲載日:2023/05/12
子ども同士のコミュニケーション、手を出すケンカはありだと思う?〜柴田愛子さんへのみなさんの回答とせんせいゼミナール『現場の子ども学』のようす〜
連続オンライン講座『現場の子ども学』(せんせいゼミナール)に寄せて、りんごの木子どもクラブ代表、柴田愛子さんからみなさんにさせていただいた質問。

寄せられた回答と、セミナーでの愛子さんのお話の一部をご紹介します。

今回の愛子さんからみなさんへの質問

子ども同士のコミュニケーションの形として、手を出すケンカはありだと思いますか?

「どちらかというとあり」と答えた方が一番多く、36.8%。続いて、「どちらかというとなし」と答えた方が、21.1%でした。

「あり」「どちらかというとあり」をあわせると、55.7%となり、半分を越える結果となりました。

1で答えた理由を聞かせてください。

「あり」だと思う。どちらかというと「あり」だと思う。と回答した方の理由

・自然な形だから。

・幼児の子どもたちは、感覚的に友だちと付き合っているように思います。ケンカも、言葉で伝えられることは少なく、手を出し合って、お互いの思いを伝え合っているように思うのです。

・感情を出して気付くことを幼い頃に経験するのはとっても大切だと思います。

・叩かれたら痛い、嫌な気分になる等、口で伝えても分からない事なので。

・良いこととは思ってませんが、その経験を経て痛みがわかる人間になってくれたらと思います。

・思いを十分に言葉で伝えたり、自身の感情を制したりすることがまだ難しい子どもは、身体を使って伝えるということはありますよね!これをダメとするのではなく、様々なことを体験する中で、こうすると伝わる、こうやって折り合いをつける、ということを学ぶと思います。 

・子どもとの、保護者との、周りの先生との信頼関係を大切に、安心して過ごすことを最優先に、私自身が責任を持って見守る中で判断して、ケンカすることの大切な育ちがあることからも、受け止めたい。


「どちらとも言えない」と回答した方の理由

・手を出さないと教えるものの、出す子はいるし、痛みを知らない子に育つのも不安。

・自分の気持ちをまだ言葉で表せない子どもは、どうしても伝えたい気持ちが手に出る形になり、仕方がないときもあると思うから。

・小競り合いはあってもいいが、怪我に繋がるのは無しだと思うから。

・怪我をしたりさせたりというのは決して良くないし、安全面第一と考えれば怪我はさせたくないです。でもお友達とのかかわり方や、力加減などは経験しないと学べないこともあるので、ある程度は見守り、その後の伝え方を大事にしているところです。

・ケガをさせてしまったら…という保育者立場の気持ちが入ってしまいます…

「なし」だと思う。どちらかというと「なし」だと思う。と回答した方の理由

・子どもの安全が重要だから。

・年齢によると思います。

・感情的になった時に手が出てしまうと思うが、怪我につながる事が多いので、なしだと考えます。

・どちらがいいとか悪いとかの問題ではなくなる。怪我させた方が悪くなるから。 

・怪我に繋がると共に、解決に行き届かない為。

・どんな理由があろうと暴力は絶対にダメだから。

・手を出すとエスカレートしていくと思う。手を出さないで言葉で解決してほしい。

・手を出す以外の手段で、相手に伝えるか、感情を出せるように支援したい。


寄せられた回答を受けて

愛子さん:
190もの回答をちょうだいして、全て目を通したのだけれど、どれも現場の人に身につまされた現状があるなって。そうだよなぁって頷ける答えが多かったですね。子どものことを思うと「あり」なんじゃないかっていう方が多いけれど、だからって「いい」とは言えないというご意見もけっこうありましたよね。

私ね、保育の世界に入って50年経つんだけど、私の中に「ケンカ=いけないこと」という発想が元にないって思ったの。「ケンカはしないでね」「仲良くね」っていうことが、私の育ちのなかに入ってなかったんです。
というのはね、私5人兄弟の一番下で、3歳上にいるのが兄なのよ。いつもその兄の後にくっついて、おみそになって遊んできたわけ。だから、その地域が特にそうだったというのもあるんですけど、まわりに女の子があまりいなかったの。男の群れの中に入って、一緒に遊んでいたわけよね。
そうすると、ケンカっていうのはけっこう見慣れているのよ。

例えば兄が怒ったら私にケンカを仕掛けるじゃない?そうするとさ、あちらは腕力があるけど、こちらは腕力はないのよ。でも、腕力はないけど「泣き」を持っているのよ。泣きを。
泣くと誰かが反応するってことはわかっているわけね。で、「お兄ちゃんが…」と言って泣きながら家の中を歩いていると、一番上の兄がやってきて「お前泣かせるなよ」って入ってくれるのよね。

大人が入ってこない子どもの文化のなかに力の上下関係があって、力の弱い弱者には弱者の手があった。泣くとか逃げるとか、隠れるとかさ。
そういうところで私は育ってきちゃったので、「ケンカはいけない」っていう発想がなかったんですね。

今、現場の方のいろんな声を聞くと、「良いとは言えない」というのはもちろんそうなんだけど、ケンカすることを嫌っている人がこんなにいっぱいいるんだなっていうことを実は思いました。それから、親御さんも、こんなにケンカが嫌いなんだなって。

兄弟がいないとか、兄弟がいても穏やかだったとか、そういう環境で育った人と、私みたいな環境のなかでありったけの表現をして育った人と、育ったなかで、その“ケンカアレルギー度”みたいなものが違うんじゃないかな、と感じました。

それから、20年くらい前に出した『けんかのきもち』という絵本があるんですけどね。
このケンカもそうなのだけど、ケンカは相手を憎んで起きるわけではないのよ。特に幼児、小学校低学年くらいまでの場合は、相手が憎くてとか、相手に警戒してとか、そういうものよりも、関係が近いからケンカになっちゃうということが多い気がするのよね。

***


『現場の子ども学』オンライン講座のようす

2回目は「子ども同士のコミュニケーションの形」をテーマに、前回に続いてたくさんの子どものエピソードを通してお話をお伺いしました。

「けんかがすきなわけじゃない、けんかになっちゃうんだ」「いつもあそんでいる子としかしない」という子どもの言葉。“おちかづきのしるし”として、飴を配る3歳児や、1日1円で優しさを買おうとした子どもの話。3歳で出会って、一生の親友になった二人の話など…

おもわず笑ったり、目を丸くしたり、胸がキュッとなったりしながら、たくさん心を動かされた時間でした。

次回のお知らせ

次回の開催は、5月23日(火)です。
今回もまた、愛子さんよりみなさんへ質問をさせていただいていますので、ぜひみなさんの声をお寄せください。

子どもに対しての園のルール、多いと思う?〜柴田愛子さんよりみなさんに質問!(せんせいゼミナール『現場の子ども学』 ✕ HoiClue企画)〜

次回のテーマは、「ルールはだれのもの 大人の常識・子どもの常識」。
みなさんは、子どもに対しての園のルール、多いと思いますか…?

質問は、イベントの申込み有無に関わらずどなたでもお答えいただけます。
(もちろん、講座へのご参加も大歓迎です。質問への回答を元にした愛子さんのお話を予定していますので、お楽しみに!)

※回答受付期間:2023年5月15日(12:00)

詳細はこちら

【せんせいゼミナール】現場の子ども学 ~保育に効くビタミン剤~ <第3回>

テーマ:ルールはだれのもの 大人の常識・子どもの常識

子どもの声に耳を傾ければ、びっくりするような発想が出てきます。運動会はみんなが走るものという大人の常識は、子どもたちに聞くと「走りたくない人は大人におんぶしてもらってゴールするのもあり」とひっくり返されます。さまざまなルールは暗黙のうちに大人が作ったものかもしれません。一度立ち止まって、常識と思えることを疑ってみる機会になるといいと思います。そこから愛子先生流の保育が始まります。

詳細はこちら