今、子どもに寄り添えていますか?〜【アンケート結果】子どもに「寄り添う」ってどういうことだろう?〜
こんにちは、ほいくる編集部タケハラです。
保育者や保育業界での経験のない私ですが、ほいくるでさまざまな仕事に関わる中で、ずっと気になってきたことがありました。
それは…
「“子どもに寄り添う”って、どういうことなのかな…?」
いっしょに過ごすこと?離れずにいること?気持ちを汲むこと?それとも…
もしかしたら保育者さん一人ひとり、自分はこう思うという「寄り添う」の捉え方って違うのかもしれない?
そんなちょっとふわっとした、でもしっかり語り合うこともなかったテーマについて質問した今回のアンケート。
いただいたたくさんの声を、前後編でお届けしていきます。
「今、あなた自身は子どもに寄り添えていますか?」。
前編ではそんな質問の先に見えた、回答者のみなさんの子どもへのまなざしをご紹介します。
【保育者さんアンケート】
子どもに「寄り添う」ってどういうことだろう?
実施期間:2022年6月14日〜6月20日
回答数:143件
今、ご自分は子どもに寄り添えていると思いますか?
「思う」が全体の約15%、「どちらかというと思う」が約48%。
あわせて半数近い方が子どもに「寄り添えている」と感じられていて、「思わない」「どちらかというと思わない」よりもずっと多かったです。
一方で「わからない」と感じている方が、およそ1/4近くに及びました。
なぜ「わからない」を選んだのか、その理由を質問したところ、「寄り添う」ということの捉え方の深さや難しさも見えてきました。
次でご紹介していきます。
選んだ理由は…?
思う
・子どもと関わる中で、子どもの思いや考えを読み取ったり、聞いたりし、自分らしく安心して過ごせるよう配慮している。
(幼稚園/保育者(常勤・正規職員)/20年以上)
・子どもが今、どうしたいか、何を伝えたいのか、どんな思いかなど、話せる、感情が出せる、行動に出せる、そんな人的環境の一人でいる意識を持って関わっているから。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/20年以上)
・付きすぎず離れず見守りながら子どもの言葉や行動を肯定し受け止めることを意識して関わっている。
(地方自治体独自の認証保育施設/保育者(非常勤・パートタイム)/6年以上〜10年未満)
・意欲をもてるような関わりをする。
(認可保育所/施設長・園長・副園長/20年以上)
・自閉症の子の加配です。その子の気持ちにそった保育を心がけている。
(地方自治体独自の認証保育施設/保育者(非常勤・パートタイム)/20年以上)
・トラブルがあっても、子どもたちの気持ちの切り替えなどがスムーズ。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/6年以上〜10年未満)
・たくさんの子どもたちとたくさんの経験を積みました。子育てをして気付いたこともあります。
寄り添うとは、そう簡単に誰もができることではありません。
(こども園/指導員/20年以上)
どちらかというと思う
・安心して寝たり、遊んだり、笑顔を見せてくれたりしているから。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/20年以上)
・会話がなくても気持ちが理解出来る場面があるから。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/20年以上)
・一人ひとりに合った関わり方に努めている。言葉がけやスキンシップ、援助の仕方など、その子の背景や発達を理解した上で行い、信頼関係や愛着関係を築いている。
私自身が園生活の安心場所と捉えてもらえることが目標です。
(認可保育所/10年以上〜20年未満/保育者(常勤・正規職員))
・いつも、子どもの行動に対して、どうしてそんな事するのかな?という思いをもって観察しているから。
(地方自治体独自の認証保育施設/保育者(常勤・正規職員)/20年以上)
・子どものすべてをよいことも、そうでないことも、ひとまとめに受け入れる気持ちを持つようにし、心に添った受け止めを大切にしていると思うから。
(地方自治体独自の認証保育施設/保育者(常勤・正規職員)/10年以上〜20年未満)
・子どもの言葉、思いを汲み取ろうと努力している。思いを理解しようとしている。
また、その事を子どもに伝えるようにしている。
(地方自治体独自の認証保育施設/主任/20年以上)
・「思う」にしなかったのは、子どもたちの思いはいつも同じではないので100%ということはないと思ったからです。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/10年以上〜20年未満)
・子どもの今こうしたいという願いや言葉にならない思いを丸ごと受け止められているかと考えた時に、出来ている時と、大人の都合で動かしてしまってるなと感じる時が自分の保育であるなと思ったから。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/10年以上〜20年未満)
・子どもたちの気持ちの揺れ動きに徹底的に耳を傾けているつもりでも、やっぱり保育者の主観が、聞きたいこと見たいことだけを無意識にみている気がします。
(認定こども園/保育者(常勤・正規職員)/10年以上〜20年未満)
どちらかというと思わない
・大人がして欲しい事を求め、子どもの話や思いに耳を傾けてあげられてないと感じるため。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/3年以上〜6年未満)
・自分の思うその子に“寄り添っている”とその子どもが求めている“寄り添って欲しい”は違うことがあるから。
(認可保所育/保育者(常勤・正規職員)/3年以上〜6年未満)
・どうしてもどこかで区切らないといけない。
加配ならばその子だけに支援や言葉掛けができるが、クラス運営では難しい。
(幼稚園/保育者(非常勤・パートタイム)/10年以上〜20年未満)
思わない
・日々反省、後悔が多いから。周りの先生方を見ていて自分はできていないと思うから。
(認定こども園/保育者(非常勤・パートタイム)/10年以上〜20年未満)
・子どもたちが生き生きとしていないから。
(特別支援学校/教員/1年以上〜3年未満)
わからない
・今日は寄り添えたなって思うときもあるし、あれ?今日は大人主導だな、って思うときもある。
(認可保所育所/保育者(非常勤・パートタイム)/10年以上〜20年未満)
・寄り添いたいけれど、普段の仕事の中がバタバタしていて、食事や排泄については寄り添っていると思えるが、普段の遊びのなかで寄り添えているのか不安になります。
(こども園/保育者(常勤・正規職員)/3年以上〜6年未満)
・ひとりよがりな寄り添いになっているんではないかと思うから。
(認可保所育所/保育者(常勤・正規職員)/6年以上〜10年未満)
・寄り添っていると思っているし、寄り添う気持ちも持っているが、子ども達の涙や癇癪(かんしゃく)を見ると寄り添えていないと感じることがあるため。
(障がい児の発達支援/保育者(常勤・正規職員)/1年以上〜3年未満)
・子どもが言葉や意思表示で思いを伝えたら受け止めやすいが そうでない時は対処に困っている。
(認可保育所/保育者(非常勤・パートタイム)/3年以上〜6年未満)
・一人ひとりに納得のいくよう関わりを持つが、その子自身納得がいっていないことも、時にはあるかも知れないため。
(こども園/主任/10年以上〜20年未満)
・絶対これが正解!というものがないから。
(障がい児の発達支援/保育者(常勤・正規職員)/3年以上〜6年未満)
・寄り添うというのがどう言うことなのか、どこまですれば良いのかわからないから。
(こども園/保育者(常勤・正規職員)/10年以上〜20年未満)
ズバリ、あなたにとって「子どもに寄り添う」とは?
ほかの言葉に置き換えてみると…。
「寄り添う」ということばの捉え方、子どもへの接し方は、やっぱり保育者さんによって違うのかもしれない。
そこで「寄り添う」を、ほかの言葉に置き換えてみていただきました。
その回答が…とってもおもしろい!
似ている言葉もありますが、小さなニュアンスの違いなのに、子どもへの目線や向き合い方が大きく変わるようにも感じます。
・思いを受け止める。
(認可保育所/保育者(非常勤・パートタイム)/6年以上〜10年未満)
・共感する。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/20年以上)
・気持ちを理解する。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/20年以上)
・気持ちを考える。
(認可外保育施設/保育者(非常勤・パートタイム)/3年以上〜6年未満)
・子どもの気持ちになってみる。
(認可外保育施設/保育者(非常勤・パートタイム)/6年以上〜10年未満)
・心を重ねる。
(地方自治体独自の認証保育施設/保育者(常勤・正規職員)/20年以上)
・心をそばに置くこと。
(少人数一時保育室/保育者(常勤・正規職員)/20年以上)
・子どもを知ろうとする。
(こども園/保育者(常勤・正規職員)/6年以上〜10年未満)
・子どもの声を聴く。
(こども園/保育者(常勤・正規職員)/10年以上〜20年未満)
・子どもと会話する。
(認可保育所/保育者(非常勤・パートタイム)/10年以上〜20年未満)
・見守る。
(企業型保育施設/保育者(常勤・正規職員)/10年以上〜20年未満)
・こどもの安心をつくる。
(認可外保育施設/保育者(常勤・正規職員)/10年以上〜20年未満)
・いつでも味方でいること。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/3年以上〜6年未満)
・その子を知る!
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/10年以上〜20年未満)
・ハグなどの温かい関わり。
(こども園/保育者(常勤・正規職員)/6年以上〜10年未満)
・ゆっくり関わる。
(認可保育所/保育補助/3年以上〜6年未満)
・子どもの幸せを1番に考えること。
(認可保育所/施設長・園長・副園長/20年以上)
・子どもを信じて待つ。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/20年以上)
・同じ目線で関わる。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/6年以上〜10年未満)
・子どもと目線を合わせる!
(こども園/保育者(常勤・正規職員)/10年以上〜20年未満)
・一緒に楽しみを分かち合う。
(認可保育所/保育者(非常勤・パートタイム)/20年以上)
・承認欲求を満たすこと。
(認可外保育施設/保育者(非常勤・パートタイム)/6年以上〜10年未満)
・この先自分で生きられるように、手助けをする。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/1年以上〜3年未満)
・子どもたちそれぞれの発達や個性に合わせる。
(認可外保育施設/保育者(非常勤・パートタイム)/3年以上〜6年未満)
・ズバリ、個を大切にする。
(認可保育所/施設長・園長・副園長/20年以上)
・子どもの言葉や思いを尊重する。
(認可保育所/保育者(常勤・正規職員)/6年以上〜10年未満)
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アンケートにご協力いただいた皆さん、どうもありがとうございました!
大きくて抽象的なテーマと質問。
どんな回答をいただけるのか、ちょっとドキドキ、そしてワクワクもしていましたが、想像していた以上にさまざまな回答が集まりました。
あなたにとって「子どもに寄り添う」を、ほかの言葉に置き換えてみると…?
寄せられた言葉の多様さからも、「寄り添う」こと、その捉え方は保育者さんそれぞれで違うということに気づきました。
後編では、みなさんから寄せられた「子どもに寄り添えたなぁと感じたエピソード」「寄り添うときに心がけていること」をご紹介します。
子どもに「寄り添う」ことについて、共感したり、ハッとしたり、温かくなったり、そんなエピソードがたくさんありました。
ぜひご覧になってみてください。
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回答者の属性について
勤務先
お立場
保育歴(子どもに関わるお仕事の経験年数)
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最後までお読みいただきありがとうございます!
HoiClueでは今後も様々なテーマでアンケートを実施し、みなさんの声を共有していく予定です。(今回のテーマも、みなさんの回答を元にもう少し踏み込んで考えていけたら…と思っています。)
この記事の連載
「子どもに寄り添えたなぁ」と感じたのはどんなとき?〜【アンケート結果】子どもに「寄り添う」ってどういうことだろう?〜
みなさんから寄せられた声をご紹介しています。
後編は“エピソード編”。
「これまで“子どもに寄り添えたなぁ”と感じたのは…?」
共感したり、気付きがあったり、改めて子どもに「寄り添う」ということの意味を問いかけられるエピソードをご紹介してきます。