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8月の指導計画(月案)<5歳児・幼稚園>

新 幼児と保育
掲載日:2021/07/30
8月の指導計画(月案)<5歳児・幼稚園>

夏休みで指導計画がない8月は…
「10の姿」につながる取り組みとして、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を見つめるための現場での実践をご紹介。

毎月さまざまな園の指導計画をご紹介している、保育の専門誌『新 幼児と保育』2021年8/9号ふろく「2021年度版指導計画」よりお届けします。

「幼児教育の質向上」につながる園内研修〜学び合う園内研修から実際の指導計画作成に向けて〜

本園の園内研修のテーマは、幼児理解、気になる子(個別の指導計画)、教材研究、研究保育など、さまざまです。園内研修での学び合いが、それぞれの教員の保育の力量形成や、保育者間の連携、協力体制にも結びつき、園の教育力向上にもつながると考えます。

ここでは、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」をテーマにした研修会の一部と、園内研修から実際の指導計画作成に向けての実践を紹介したいと思います。

園内研修8月幼児期の終わりまでに育ってほしい姿〜5歳児の事例から考える〜

【事例検討会】

夏休みを機会に、本園で以前、協同性の育ちを視点として挙げていた事例を「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を視点に園内研修で取り上げて考えてみることにしました。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は幼稚園での遊びや生活を通して総合的に育まれていくものです。子どもたちの日々の姿をこれらの視点で改めて見つめ直すことで、幼稚園の教育課程の中で大切にしたいことが見えてくると考えます。

運動会の事例を取り上げることで、夏休み後の5歳児の指導計画を考える手がかりにもなります。

事例:リレーごっこ(5歳児9月)

A児たちは障害物を「しかけ」と呼び、「とげとげ山」を作りたいといい出した。どうしたら本物らしく見えるかにこだわり、積み木を使ってみたり、板を使ってみたりしたが、結局安定感のある大型ブロックを使い、それを立てて「とげとげ山」に見立てることにした。しかし、その過程において、「とげとげ山」に見えないといっては壊し、安定感がなくて崩れたり、イメージの違いからトラブルになるなど、失敗しては何度も作り直した。それらの様子を見ていたB児たちは「とげとげ山」の隣に新たな「しかけ」としてドラム缶で「ワープトンネル」を作った。また、C児たちは「タッチして走ること」にこだわった。
ただ走るだけでなく「友達からタッチされて走る」ことが楽しくてエンドレスに走っていた。D児はだんだんできあがっていく障害物リレーを見て「ここでとげとげ山を越えたらトンネルをくぐるんだよ。そしてしかけ爆弾があってこれを爆発しないように運んで......」とストーリーを作って語りだした。それを聞いていた友達は「ジャングル探検みたいだね」といった。できあがった障害物リレーで友達と競い合うことを楽しむ子もいれば、旗を作ってその子たちを応援する子もいた。そしてみんなで話し合い、障害物リレーの名前は「とげとげ山ワープトンネルを越えていく『ようこそ!ジャングルへご招待』」に決めた。


本園では、子どもたちの興味や関心から、それぞれの得意なこと、やりたいことを発揮しながら運動会に向かえるような生活を作っていく。障害物(しかけ)やルールは年長組が遊びの中で、自分たちで作り上げていく。



事例検討会での意見交換から

1, 事例の中の子どもの経験していることを出し合う
まずは、事例の中で子どもたちが経験していることをそれぞれに出し合いました。

2, 「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の視点でとらえる
それぞれの子どもが経験していることを、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の視点でとらえてみました。子どもが経験していることを漠然と考えるのではなく、視点を持って見直すことで、内容が整理されました。

3, 5歳児のこの時期に大切にしたい経験について話し合う
そこで、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の視点でとらえたものを手がかりに、運動会の活動で大切にしたい経験について話し合い、いくつかのキーワードを出しました。さらにそれらを支える環境と保育者の援助について話し合いました。

ダウンロードすると、以下のくわしい内容をご覧いただけます!

・事例検討会での意見交換から(詳しい意見や話し合いの内容、図解)
・9月の指導計画に向けて(研修会を終えて〜5歳児の運動会に向けての生活を考える) 
…ほか

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