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絵本『笑顔が守った命〜津波から150人の子どもを救った保育士たちの実話』〜ほいくる編集部のおすすめしたい一冊〜

竹原 雅子
掲載日:2021/03/09
絵本『笑顔が守った命〜津波から150人の子どもを救った保育士たちの実話』〜ほいくる編集部のおすすめしたい一冊〜

2021年3月、 東日本大震災が起きたあの日から10年。
時の流れとともに、戻り始めた東北の日常の風景をメディアなどで目にする度に、どこかホッとし、その記憶を“過去”という箱にしまいかけていた気がします。

10年前のあの日、保育中に大きな津波に見舞われ孤立状態となりながら、子どもたちをひたすらに守り抜いた保育者さんたちがいます。

『笑顔が守った命〜津波から150人の子どもを救った保育士たちの実話』は、いつどこで起こるともわからない災害と背中合わせのこの国で、子どもたちと向き合う保育者のみなさんに、読んでいただきたい絵本です。



絵本『笑顔が守った命〜津波から150人の子どもを救った保育士たちの実話』

『笑顔が守った命~津波から150人の子どもを救った保育士たちの実話』

作: あいはら ひろゆき/絵: ちゅうがんじ たかむ
出版社: サニーサイドブックス

発行日:2021年3月01日
サイズ・ページ数:182mm×230mm/32ページ

くわしくはこちら

宮城県仙台市にある中野栄あしぐろ保育所。2010年3月11日は、その前の日までとなんら変わることなく訪れました。

午前中は3月の誕生日会。午後になると子どもたちはお昼寝、先生たちはそのそばで連絡帳を書いたり。穏やかな昼下がりでした。

午後2時46分、聞いたこともない大きな音とともに激しい揺れが起こるまでは…。

地震は、何の前触れもなく突然に、平穏な日常に襲いかかってくる。
いつもの一日があっという間に飲み込まれていく様子は、決して遠い地域のできごとと捉えることはできません。

もし今、子どもたちと過ごすこの瞬間に、同じ状況に立たされたら…。


津波警報がでた直後、先生たちは直ちに150人の子どもたちを2階の教室に避難させます。本来想定していたのは園庭への避難…。その瞬時の判断は、命の境を分けるものとなりました。

茶色い泥水が街を、そして保育所の1階までを飲み込み、先生と子どもたちは園舎の2階で、停電による暗闇、余震の激しい揺れのなかで一夜を過ごします。

泣きながらしがみつく子どもたち。先生たちの不安や恐ろしさは、いかばかりだったでしょう。
私たち読者は、絵本を通して、東日本大震災を体験していきます。

この絵本の作者は、人気絵本『くまのがっこう』の生みの親であり、現在HoiClueでマンガ連載『がんばれ!パオ子先生』を届けてくださっている、あいはらひろゆきさんです。

被災地の出身であるあいはらさんは、震災1ヶ月後から毎年、中野栄あしぐろ保育園への慰問を続けてきたそうです。人々の記憶の中で震災が風化しつつあった10年目を前に、先生がたから聞いた「あの日」のできごとを語り継いでいかなくてはと、絵本として残すことにしました。

暗く凍える寒さの3月11日の夜、子どもたちを救ったものは、ぬくもり。そして大人たちの笑顔。

あの日、とっさの判断で150人の子どもたちを2階に避難させた後、先生たちがすぐに1階に引き返して運んだものがあります。
自分たちにも命の危険が迫る中で、子どもたちのために守り抜いたもの。
胸の奥がギュッと熱くなりました。


絵本『笑顔が守った命〜津波から150人の子どもを救った保育士たちの実話』プレゼント

絵本プレゼント応募は、2021年3月17日12:00を持って締め切らせていただきました。
厳正な抽選の上、当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。