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保護者とどうコミュニケーションを取っていく?アンケート結果〜withコロナでの保育 情報交換アンケート vol.4〜

竹原 雅子
掲載日:2021/02/17
保護者とどうコミュニケーションを取っていく?アンケート結果〜withコロナでの保育 情報交換アンケート vol.4〜

このコロナ禍の保育で、頭を悩ませていること、みんなに聞いてみたいことなどを、他の園の保育者さんと情報交換する目的で継続的に実施しているアンケート。

まだしばらく続くであろうコロナの状況下で迎える年度末と新年度。
どうやって保護者とコミュニケーションをとったり連携したりしていくのか、また、この一年を振り返って工夫してきたこと、新年度に活かしていきたいことなど…

全国の保育現場のみなさんから寄せられた回答を、ご紹介します!

実施期間:2021年2月2日〜2021年2月8日
回答数:134 件



コロナ禍で、保護者とのコミュニケーションの取りづらさを感じる?

「感じる」と回答した方が6割以上、全体的に多くの保育者さんが保護者とコミュニケーションを取りづらいと感じているようです。
一方「感じない」「どちらともいえない」と回答した方も3割ほどいました。

園内での感染拡大防止対策のため、保護者と直接対面する機会が例年より大きく減ってしまった1年。
具体的にどんな点でコミュニケーションを取りづらく感じているのか、次の設問で聞いてみました。



どういった点にコミュニケーションの取りづらさを感じる?

「保護者が参加する行事が減った」ことが約40%、「保護者会や個人面談など」「送り迎えなの際など」直接話す機会が減ったことがそれぞれ約25%と、全体の9割以上の方々が、保護者と直接会ったり話したりする機会の減少を理由に選んでいます。

感染防止対策としてやむを得ない措置ではありますが、行事や保護者会や個人面談、園児の送迎のひとときは、保護者と保育者がお互いにコミュニケーションを円滑にとる上で、とても大切なきっかけだったことがわかります。
連絡帳やおたよりの利用だけでは、情報を伝えづらい、保護者の声を受け止めにくいと感じている方もいました。



保護者とのコミュニケーション、特に工夫していることを教えて!

機会が減ったり短くなったりしていますが、保護者と直接話すことができる送迎時を積極的に活用している方が、全体の4割近くいました。

園での子どもたちの様子を見る機会が減った保護者に向け、毎日の園生活を写真で紹介したり、連絡帳やノートを通して細やかに伝えている方も多いようです。

みなさん、具体的にどんな工夫をしているのか、教えていただきました。

工夫していることは…?

送り迎えの際にできるだけ直接話すようにしている

・玄関での受け入れなので、玄関番の保育士しか普段保護者と話せないので、職員室で残業している際に、自分のクラスの子のお迎えが来た時に、手を止めて保護者に話しかけに行ったりするようにしている。

・保護者に会えた際には積極的に話しかけ、日々の子どもの成長や保護者の心配事なども気軽に話せるようにしている。

・世間話程度でも話して信頼を作っていく。

・心配される保護者にはこまめに電話したり、トラブルが多い子どもにはいいことも混ぜてなるべく細かく伝えるようにしている。


・0、1、2歳児の担任であれば、特に細やかな連絡だったり、家庭での様子を伺ってみたり、配慮をしています。


写真をたくさん撮って園の様子を保護者が見られるようにしている

・新たに掲示板を設置し、ドキュメンテーションを毎日掲示し、どの学年の保護者も見られるようにした。

・午後4時までの写真を各クラス5枚ほど撮り、玄関にスライドショーをしている。

・写真を撮り、クラスノートに貼って送迎時に子どもたちの姿を見ていただけるようにしている。

・外国籍の家庭が多い事もあり、文書よりも写真の方が伝わりやすく、行事や普段の保育の様子を撮って送迎時に見れるように玄関に掲示しています。

・Google photoを活用。


ノートを通してこまめにやりとりするようにしている

・連絡帳には遊びの内容、友達同士のやりとりを中心に細かく書くようにしている。

・お家での様子には必ず触れて、共感したりアドバイスなど書き出すようにして、園での(1)子ども個人の姿、(2)他の子との関わりの姿、(3)可愛い・良い姿ばかりではなく時には困った姿も、テーマを入れ替えながら書くようにしてます。(3)については、困った姿も成長の一つであることを必ず加えてます。

そのほか

・園だよりに写真を取り入れ、普段の様子はもちろん、行事の練習風景など保護者の方が見られない場面を撮影して載せている。

・アプリを使って、学校全体、クラス全体、グループ、個人とコミュニケーションが取れるようにしていて、クラスの様子の写真や動画を上げて子どものクラスの様子を伝えたり、連絡事項を連絡したりしている。

・ホームページの中でブログを始めました。

・ブログの更新数を増やすようにした。

送迎時間で保護者と直接話をすることが、コミュニケーションのきっかけになっている現場は多いよう。自身が玄関での引き渡し担当ではなくても、担任する園児の保護者を見かけたら意識的に声をかけたり、世間話などでも話をしたり、保育者側からのアプローチを心がけているようです。

子どもの様子や表情を写真で伝えているという現場は、スライドショーやノートを通して毎日の送迎時に保護者に見てもらえるようにしたり、オンラインツールを利用したり。撮影の枚数や更新の頻度を増やしているという声も多数でした。



保護者への伝え方に悩むお知らせ事項ややりとりは?

「子どものトラブルや成長で大切なこと」「保護者へのお願いごと」がそれぞれ20%近くとなりました。
コロナ禍でなくても伝える際に配慮が必要なことは、直接話したり面談する機会が減った今、さらに伝え方に気を張ったり迷ったりするかもしれません。

「事前に伝えていた予定の変更」「コロナ禍での園の保育方針」は、コロナがきっかけで対応を求められるようになったこと。現場も保護者も初めてのことが多く、例年と違う園の行事や方針への保護者の戸惑いを受け止めながらも、感染防止の観点で園の考え方を明確に伝えていく必要があり、表現や伝え方の難しさがありそうです。

工夫していること、配慮していることは…?

子どものトラブルや成長で心配なこと

・保護者の気持ちを代弁するような形で寄り添いつつ、重点的な内容はストレートに話すようにしている。

・基本バス通園なので、連絡ノートでその日の出来事を伝え、家での様子を聞いてみる。
伝わりづらいときは電話を入れる。

・ノートで質問されても、ノートで返事、プラス直接会って話をするようにしている。

・保護者の出入りが少ない時間帯に、園庭やテラスでの個人懇談で伝えるようにしている。

・子どもの少し気になる姿を、家での様子を聞きながら少しずつ伝えるようにしている。

・問題点があるときはポジティブなことをたくさん伝えてからその問題点を伝え、また最後にポジティブな話で終わるようにしている。


保護者へのお願いごと

・送迎方法が変わり、保護者へのお願い事が増え保護者や保育士側も混乱している。簡単にわかりやすく伝えるため口頭にあわせて手紙を配布するようにした。

・とにかく連絡帳に書くのだが、伝わりやすくかつ冷たくならないよう気持ちを込めて簡潔に書いている。

・登園自粛をお願いしているため、毎週のお手紙を全枚数アプリで配信している。

・変更があった時点で、より早く、手紙を通してなるべくわかりやすく説明している。コミュニケーションツールが手紙になってしまうが…。


事前に伝えていた予定の変更

・町内の職員で話し合い、今できる最善の対処を理解していただけるように、便りで知らせるだけでなく、面と向かって説明している。

・決定事項だけでなく、決定までに至った経緯もなるべく詳しく伝えるようにしている。

・代替案について簡素化する中でも、工夫してより良い内容にしたいという想いを伝えている。


コロナ禍での園の保育方針

・不安を煽らないように気をつけている。

・行事などがなく園長が保護者に園の方針などを伝えられる機会が減った。そのため、保育士が園の方針などを説明できるようになるために、園長が対応する見学者対応を見学することになった。

・なるべく納得していただけるよう案で方針を固め、安易に返事はせず、答えに迷う際には返答に時間をいただく。


そのほか

・保護者は保育室入室禁止になっており、玄関までの送迎なので、玄関で数名の他の保護者がいる中、日中の様子を伝えるので、個人情報は特に気を付けていますが伝え方が難しいです。

子どものトラブルや成長について保護者に伝える時には、電話を利用したり、園内の他の人が来ない場所で話をしたり、正確に「伝える」「把握する」ことを一番の目的とした上で、保護者に過度な心配や不安を感じさせないようなフォローを意識しているという声が多かったです。

予定の変更や園の方針について伝える際には、そこに至る経緯も含めて“丁寧に”説明をすることを心がけている現場が多いよう。お便りやメールなどだと伝わりづらい場合もあり、内容や表現には慎重になるのかもしれません。

いずれの回答からも、いまだに正解はつかめず、迷いながら模索している現場の様子がうかがえました。


今後も続くこの状況下で、保護者とのコミュニケーションでより大切にしていきたいと思うことは?

いまだ終わりが見えないコロナ禍。来年度の園運営や保育、また保護者に対しても、しばらくコロナありきでの対応が続きそうです。

その中で、保護者とコミュニケーションを取っていく際に、大切にしていきたいこと。
今年度の経験を踏まえつつ、質問しました。

・保護者も自粛でママ友と話せていないので、子育て相談を個別に声掛けして行っている。医療、福祉系の保護者には労ったり不安はないか声かけしている。

・送迎時間が定時勤務外(早い時間や遅い時間)の保護者もたくさんいるので、会った時には挨拶だけでなく、必ず声をかけて、短時間でも会話をするようにしたい。

・日々の活動の様子をできるだけ発信して、子どもたちの表情を伝えたい。

・話せるときにじっくり話す。

・出来るようになったことや、子どもが喜んでいたエピソードなど、保護者が聞いて嬉しい話は都度伝えていきたい。

・家族の体調なども、気にかけています。

・毎日顔を見て挨拶すること。早めに情報を出していくこと。

・電話やお迎えの時に声かける。こまめな連絡を取る。

・バス通園のためなかなかお話しする機会が少ないが、お迎えに来た際は積極的に話しかけてお子さんの様子を伝えるようにする。

・子どもたち、特に特性のある子の成長や関わり面については、口頭、日記などのこまめな情報共有を大切にしたいと思う。

・子どものストレスだけでなく、保護者のストレスも読み取り寄り添えるようにアンテナを張っている。

・保護者からのささいな意見にも心を留めて考えていくこと。

・コロナ禍だから出来なかったに終わらせず、コロナ禍だから出来た!!ということが一つでも多く伝えられるように視野を広げる。

・笑顔。

・日々、子ども達ひとりひとりの様子を丁寧に伝えたり、後は毎日家事に仕事に子育てに頑張っている保護者の方にお疲れ様ですって伝えるようにしています。コロナ禍でも、皆、お仕事頑張っていますからね。

・普段からのコミュニケーションを大切にして、いざという時に心を開いてもらえるような関係性をつくっておく。

・保護者が何を知りたいのか?何が分からないのか?何をして欲しいのか?こちらがオープンな雰囲気でいる事で出しやすく、そこからきっかけとなって、コミュニケーションが取りやすくなるのだと思う。

・進級に向けての話も進めていきたいため、連絡帳から丁寧に書くようにし、お手紙などで園での姿を伝えて行けるようにする。壁の感じない保育をめざしたい。


***

現場にとっても保護者にとっても、初めて経験する出来事ばかりだったコロナ禍での一年。
例年のように、行事や保護者会など、一緒に子どもの成長を感じ合ったり伝え合ったりする機会を持てなかったことは、歯がゆさやご苦労があったと思います。

そんな中でも、2020年5月、初めての緊急事態宣言下で実施したほいくるアンケートで多くの保育者さんが強い不安を感じられていた頃に比べて、今回のアンケート回答からは、この9ヶ月間、現場のみなさんが試行錯誤を繰り返しながら“今”の最善策を見つけようと前向きに取り組まれてきた様子が伝わってきました。

どんな不測の事態が起きた場合にも、子どもの育ちを一番に守りつつ、保護者と協力して保育を実現していくために。
みんなの今年度の経験や取り組み、工夫したことや考え方を、来年度からの糧として活かしていただけたらいいなぁと感じるアンケートでした。

アンケート回答にご協力くださったみなさん、どうもありがとうございました!



アンケートに協力してくださった方の属性について

お立場


勤務先

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最後までお読みいただきありがとうございます!

HoiClueでは今後も様々なテーマでアンケートを実施し、みなさんの声を共有していく予定です。