保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

「拡大家族をつくる」—こそだてビレッジ(東京都 豊島区)

三輪ひかり
掲載日:2017/03/21

「こそだてビレッジ」の特徴はどんなところ?

集合写真


まず特徴をあげるとしたら、ただの保育園ではなく、親子で通えるコワーキングスペースであるということだと思います。

元々こそだてビレッジは、「子どもを自分の側において”子育て“も”仕事“もしたい」という第三の選択肢になる事を目指して誕生しているので、実際一日の中で、子どもと保育士だけで過ごす時間は午前中の2時間だけ。お昼の時間からは、親御さんも同じフロアで共存します。

そう考えると、もしかしたら子どもたちや親御さんにとっては、保育園というより、第二のおばあちゃんちみたいな感覚かもしれません(笑)。

例えば、おばあちゃんちに行くと、お母さんが用事ある時は、子どもはおばあちゃんと外に遊びに行って、一度おうちに帰ってきてお昼ご飯はお母さんも一緒に食べて、午後はまたおばあちゃんの目がある中で、自由に遊ぶ…とかって、よく見られる光景じゃないですか。
ビレッジもまさにそんな感じで、そのおばあちゃんになり得るのが私たち保育士かなと思っています。

あと、保育士目線からの特徴を言うとしたら、他の園に比べて親御さんとの距離がとても近い!

基本的に、お互いに声かけ放題なんですよね、同じ空間を共有しているので。

なので、午前中子どものことで気になったことがあったらゆっくり時間を取って私たちのほうから話を伺うこともありますし、逆に親御さんたちも子育ての悩みをどんどん共有してくれるので、ご飯をどう食べさせればいいとか、お昼寝はどうやってすればスムーズかとか、ビレッジでの様子もお家での様子も共有しながら、話をします。

ここで更にビレッジらしいなと思うのが、その話に別のお母さんたちも入ってくること!
この前も、トイレトレーニングの仕方について話をしていたら、他の親御さんも入ってきて、結局みんなでトイレに行き、実践レッスンをしました(笑)。

保育でおもしろいと感じることは?

遊ぶ子どもの様子


「毎日違う」というところですかね。

人と人との関わり合いの中で起こることも、行く場所で起こることも、会話の内容も、何もかもが、毎日違うじゃないですか、子どもたちって。

毎日、様々な成長をみせてくれて、姿を変え続ける子どもたちと過ごすのは、本当におもしろいです。

保育の課題と、その課題を解決するためにしていることは?

遊ぶ子どもの様子


んー、マニュアルが全然ないところかなぁ。

保育って正解がないじゃないですか。
だから師匠がほしいなと思うこともあるんだけど、その人の保育だけが、完璧な保育とも言えないし、個人的に世界の保育に興味があって、世界の様々な保育園を見に行ったり、世界の子育ての話を聞いたりしてきたんですが、やっぱりどこにも答えはなくて、みんな自分たちなりのゴールを探している感じがするんですよね。

わたし自身ももちろんそれを探し続けていて。ずっと探求し続けることは保育の楽しいところでもあるとは思うのですが、やっぱり難しいところでもあるなぁと感じています。

だからこそ日々、子どもたちの姿や親御さんと話したことを大事に自分の中にインプットするようにしています。

子どもたちの反応ひとつも、親御さんがさりげなく言っていた一言も全部、自分のヒントになっていくと思うんですよね。

「保育」において大切にしていることは?

絵の具をつけた足で紙の上に立つ子どもの写真


子どもがやりたい、と思ったことはやらせてあげること、子どもたちの気持ちを尊重することを、大切にしています。

もちろん、集団になった時に、ひとりひとりの思いを全部許容するのは難しい時もあるんですが、そのなかでも子どもたちの意見を聞くことは、忘れたくないなと思っています。

例えば公園に行く時も、今日みたいに風が強い日とかは「風が強いから、神社のほうがいいなと思っているけど、どうですか?」と、子どもたちに必ず聞く。

子どもたちと対等でいられるように、相手の思いを受け入れるだけでなく、こちらの思いも懇切丁寧に伝えて、お互いが納得できる点を見つけていきたいと思っています。

こそだてビレッジの考える「保育」とは?

保育室の様子


お父さん・お母さんたちと一緒に歩んでいくもの。
この園の環境的にも、ここは絶対外せないですね。

私たちは午前の2時間しか実質子どもたちを預かっていません。
だからこそ、親御さんたちのサポーターであるという気持ちもすごく強いので、子育ての伴走者というか、良きパートナーでいたいです。

こそだてビレッジの「夢」は?

料理をする様子


他の保育園や幼稚園が決まったり、海外に移り住んだりする家族が結構多くて、すでに何組も卒園を見送ってきました。

そうやって卒園していった家族が、「よっ。久しぶり!」と帰ってこれる場所でありたいです。本当におばあちゃんちみたいになれたらいいなぁと。

拡大家族がコンセプトの場所なので、いつでも帰ってこれる場所、帰ってきたらホッとできる場所でいたい。
そのためにも、ここにあり続けるということが大事かなと思っています。

◆基本情報
名称:こそだてビレッジ
運営:株式会社 TAKE-Z
住所:〒170-0005 東京都豊島区南大塚3-36-7 T&Tビル 7階

人形遊びをする子どもの写真



取材・文・写真 三輪ひかり