【保健コラム】知っておきたい、アレルギーと廃材を使ったあそび
実は、ごくまれに触ったことでアレルギー反応が起こることも…?
安全に楽しく遊ぶために知っておくと良いことや、食物アレルギーを持つ子への配慮と工夫、代わりに使える廃材素材をご紹介します。
口にしなくても、廃材などからアレルギー反応を起こすことってあるの?
食物アレルギーを持つ子の全てがアレルギー物質に触れただけでアレルギー症状をおこすとは限りません。
ただ、なかには少しのアレルギー物質を触っただけでアレルギー症状が出る子もいます。
また、アレルギー物質を触った手で粘膜(口・目・鼻など)を触ってアレルギー症状がでることもあります。
その為、食物アレルギーを持つ子の状況に応じて、臨機応変に対応することが大切ですね。
アレルギー物質を含む廃材、洗えば落ちる?
牛乳パックやヨーグルト容器、プラスチック容器など
洗えば大丈夫!と思いがちですが、実は、水洗いでは落ちません。
特別な方法でボール(調理器具)についた乳タンパクを落とした実験結果は出ていますが、紙でできている牛乳パックやヨーグルトの容器などは、どうしても乳タンパクが染み込んでいるため、取り切れていないと思いましょう。
ボールの乳タンパク実験について、詳しくお知りになりたい方は、東京都保健福祉局が調査した内容が掲載されている下記をご参照くださいね。
→東京都福祉保健局:給食施設における食物アレルギー事故防止対策
→東京都福祉保険局:給食施設における食物アレルギー対策~給食施設の実態調査・食品への移行実験~(リーフレット)
卵パックは安全?
卵の殻は卵殻カルシウムでできていて中身とは違う成分です。
洗卵してあり、割れていない卵が入っていた容器には卵のアレルゲンは付着していないと考えてよいでしょう(パック詰め前に割れた卵と接した場合は卵黄や卵白が付着している可能性があります)。
*安全に遊ぶために、卵パックの使用を保護者にご説明し、自宅にて触ったことがあるか等確認しておくと安心ですね。
その際に、必要以上に保護者の不安を煽らないような伝え方を意識すると良いと思います。
お菓子の外箱に中身のアレルギー物質がついていることはあるの?
内袋がありお菓子を開封していなければ、外箱に商品のアレルギー物質は付着していないと考えてよいでしょう(ケーキ屋さんなど手作業で梱包している場合や、内袋のない商品は、アレルギー物質が付着している可能性がありますのでご注意を!)
安全に遊ぶための代用素材をご紹介
牛乳パック
お茶パックで代用
ヨーグルトの紙容器
豆乳でできたヨーグルト風の食品容器。
食物アレルギーがある子は自宅から持参してもらうと安心ですね。
※プールや水遊びで使用する玩具を作る場合は、乳タンパクが溶け出す可能性を考え、アレルギー物質が含まれる容器は控えましょう。
卵パック
最近では、卵のばら売りをしているスーパーがあり、持ちかえり用に未使用の卵パックがおいてあることも。
また、卵パックを取り扱っている業者もあります。
お菓子箱
お菓子箱は中身を開ける前に外箱だけ確保する。
家庭から持ってきてもらう場合、アレルギーがある子は自分で持ってきたものを使うと安心ですね。
安全に遊ぶために保育園でできる対応
・入園時に必ずアレルギーを確認しましょう。
表にしておくとわかり易いですね。
また、保護者に廃材を使う制作があることを伝え、触っただけでもアレルギー症状が出るか確認したり、医師に相談して頂いたりしましょう。
・普段は大丈夫でも、体調によってアレルギー症状が出ることを頭に入れておきましょう。
(ここから下は、知っておくとより安心な対応のご紹介です。そこまで過敏になる必要はないと思いますが、とても大切な情報なので、合わせてご紹介します。)
・食品が接していた廃材を使う場合は、その物質の食物アレルギーのある子がいないか確認しましょう。
・他の職員と廃材製作のプランを共有しましょう。
看護師や栄養士に報告しても良いかと思います。
「食物アレルギーの子がいるけど、アレルギー物質を含むものは使わない?」など確認しあえるので安心ですね!
・0歳児クラスはアレルギーがあるか確認できない為、牛乳パックやヨーグルト容器で作った玩具は使用を控えましょう。
・廃材製作の後はしっかり手を洗いましょう(特に牛乳パックやヨーグルト容器など、アレルギー物質が取り切れない廃材を使う場合は、食物アレルギーを持つ子は別の机で作ります。製作後はアレルギー物質を触った子どもたちの手洗いを徹底します。)
最後にひと言
食物アレルギーは個人差が大きく、ここでお伝えしたことが全て当てはまるとは限りません。
廃材に付着した程度のごく微量のアレルギー物質には反応しない子もいますし、上記の対応では不十分な子もいるかと思います。
子どもたちの貴重な経験になる廃材遊び。
担任保育士が一人で抱え込まず、他の保育士や看護師、栄養士、園長、主任と協力し安全に行える環境を整え、手順を共有しましょう。
食物アレルギーを持つ子の保護者にも廃材集めにご協力を頂けると良いですね。
(同時に、必要以上に保護者の不安を煽らないような伝え方を意識することも心掛けられると良いですね)