「子どもの遊びを捉える“視点”が大切。」あそびコーディネーターしみずさんの『子どもと遊び』の考え方〈後編〉
子どもと遊びを見る「視点」。
大人の枠に当てはめない柔軟な視点って、どうやったら持てるんでしょうか。
保育の中だと、「これやらなくちゃ!あれやらなくちゃ!」というのが先にあって、子どものこういう姿があるから、これしようってしたくてもなかなかなりにくい。
みえさんのなかで、大切にしていることってありますか?
わたしは「その子が今何にこだわっているのか」というところを、結構見るかな。
かけっこひとつにしても、こだわっている子って結構こだわっているんですよ。
ずっと走り続けることにこだわる子もいるし、線を踏まないで走ることにこだわっている子もいたりして。
わかる!私のクラスにも、走る時手をグーに握るのではなく、パーにして走るっていうのにこだわっている子いました(笑)!!
そうそう、いますよね、そういう子。
大人がついつい注目してしまうような「走るの早いね!かっこいいね!」とかではなく、その子が何にこだわっているのかというところに目をむけると、新しい視点で子どもを捉えられるかなぁと思います。
でも、保育士さんみたいにクラスに20人も子どもがいるとかなってくると、全員を見るって、結構難しいのかな?
うーん、たしかに子どもの人数が増えれば増えるほど、難しくなってしまうかもしれないですね。
でも、そういう視点があるということを頭にいれておくだけでも、だいぶ違うと思います。
大人にも「遊び」を!
私、保育士さんも含め大人たちにももっと遊んでほしいと思っているんです。
遊びってワクワクすることって定義したら、大人だってもっと遊びが身近にあって、ワクワクすることを大事にできるといいんじゃないかなぁ。
たしかに、そうですね。
大人も遊び心を思い出したり、遊びをもっと楽しめるような経験を増やせたら、子どもの遊びの捉え方や共感の仕方にも変化がでてくるような気がします。
本当、その通りだと思います。
今、子どもが遊ぶワークショップをいくつかやっているんですけど、将来的には、大人も子どもに負けないくらい本気で遊んじゃうような、そんな会をしてみたいなぁと。
それいいですね!
1つ目は子どもが喜ぶ。自分の親や周りの大人が本気になって遊んでいる姿ってすごく嬉しいんですよね。
2つ目は、さっき雨宮さんも言っていましたが、大人が、子どもが遊ぶ気持ちに共感しやすくなる。
「ごはんの時間だから片付けなさい!」と言っても片付けないくらいのワクワクってこういう感じかぁって。そのワクワクを共感することで、子どもの遊びを大切にできると思うんです。
そして3つ目は、自分がワクワクする気持ちを、大人たちが思い出せる。
今のパパママ世代がこどもの頃は、ルールを守る遊びや正しく取り組む遊びが、もう主流になっていましたよね。そんななかで幼少期を過ごしてきて、自分の心の赴くままに遊ぶ経験をした大人って、減っているんじゃないかなと思っていて。
遊ぶことが、ワクワクする、これが好き、という自分の感情を取り戻すきっかけになると思うんです。
いいことずくめですね。
大人も思いっきりあそぶイベント、保育士バージョンもやりたい!
いいですね、保育士さんが本気でワクワクする遊び!
すっごく盛り上がりそう!!(笑)
*しみず みえ:こども×おとな×しごとプロジェクト代表
あそびコーディネーター
1977年生まれ。玩具メーカーでの企画開発、KCJ GROUP(株)でのキッザニア東京の創業、こども向け体験プログラムやキャリア教育プログラムの企画運営などに携わる。
現在は、おとな・こどもが共に自分らしさを育むことを目指し、親子で絵本や遊びを味わうワークショップの企画・運営や、保護者向け講座、こども向け体験プログラムの企画などを行う。2児の母。
・こども×おとな×しごとプロジェクト
・「あそびのじかんあそびのじかん-こどもの世界が広がる遊びとおとなの関わり方」
*雨宮 みなみ(あめみやみなみ):こども法人キッズカラー代表
1986年生まれ。和泉短期大学児童福祉学科を卒業後、保育士として6年間子どもたちと携わった後2010年起業。自身の保育士経験を軸に、「あったらいいな」を形にHoiClue♪の立ち上げを行う。
2014年に第一子を出産し、一児の母でもある。
(執筆:三輪ひかり / 撮影:三輪ひかり)