【保健コラム】プールに入っていい時、ダメな時の境界線って?
夏が近付くプールの季節。
安全に気をつけながら、より楽しい夏の思い出にしたいですね!
今回は、環境面から子どもの体調面に渡って、プールの“あるある”疑問についてお伝えします。
1、環境面
今日はプールに入れる?入れない?
プールに入ってもいい気温・水温、知っていますか?
・気温+水温=50℃
・気温は28℃以上
気温・室温がクリアしていても、突風や落雷、地域によっては光化学スモッグなどの予報にも注意しましょう!
(*気温と水温はあくまで目安なので、この機会に園の決まりを再確認してみましょう!)
2、子どもの体調管理面
ケガがある子、虫刺されのある子はプールに入れる?
おうちの人からはプールOKと言われたけれど、なんだか傷口がぐちゅぐちゅしている。
大丈夫かな・・・と気になったことありませんか?
虫刺されだけでなく、ケガの傷で心配なのが「とびひ」です。
伝染性膿痂疹(とびひ)
かきむしったところの滲出液、水疱内容などで次々にうつります。
プールの水ではうつりませんが、触れることで症状を悪化させたり、ほかの人にうつす恐れがありますので、プールや水泳は治るまで禁止して下さい。
(日本臨床皮膚科医会、日本小児皮膚科学会、日本皮膚科学会が共同で統一見解を出しています。)
傷口が乾燥していない(ぐちゅぐちゅしている)場合は、「とびひか判断できませんので、今日はお休みしました。」とおうちの人に丁寧にお伝えしてみてください。
看護師がいる園は、看護師から伝えてもらうと理解も得られやすいかもしれませんね。
“水いぼ”って、結局プールに入っていいの?
とびひに続いて気になるのが、「水いぼ」。
「水いぼ」も統一見解が出されています。
染性軟属腫(みずいぼ)
プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。
ただし、タオル、浮輪、 ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。
プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。
・「ただし~」の文をみると…
気になるのが、「浮き輪やビート板の共有」について。
タオルを共用することはあまりないと思いますが、玩具などの共有はありますよね。
つまり、水いぼの子が使った玩具は他の子は使わない方が良い、ということになります。
あくまで私個人の意見ですが、これでは日常の保育中でも玩具の共有が難しくなってしまうのでは?と疑問に感じる部分でもあるので、各園での対応を相談しておくと良いと思います。
対応例
・園の方針をまずは確認しましょう。園の方針によっては入れないこともあります。
・水いぼが分かっているご家庭には、早めにかかりつけ医に相談してもらう(受診が難しい場合、春の健康診断で園医に相談してみるのもひとつ)。
・疑わしい水泡がある子はまず受診してもらう。
余談ですが…
私の勤務していた園では水着やラッシュガードなどで水いぼが隠せればプールOKでした。
入れない子は服のまま、プールサイド(園庭)で水遊びをしていました。
安全を考慮しつつ子どもが寂しい思いをしなくてすむような対応ができるといいですね。
あたまじらみがでた子にはどう対応したらよい?
「あたまじらみ」も統一見解が出されています。
頭虱(あたまじらみ)
アタマジラミが感染しても、治療を始めればプールに入って構いません。
ただし、タオル、ヘアブラシ、水泳帽などの貸し借りはやめましょう。
疑わしい子のご家族には、治療が始まればプールに入れることを伝え受診してもらいましょう。
治療を始めた確認が取れればプールに入れます。
プール前後のシャワーを最後にするなどの配慮は必要ですね。
※参考文献
⇒学校感染症 第三種 その他の感染症:皮膚の学校感染症とプールに関する日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会の統一見解
おまけ:保育に役立つ豆知識
水中の残留塩素濃度って?
そもそも何のためにやっているのでしょう?
残留塩素濃度とは、簡単に言うとプールの中にある塩素の量(割合)です。
プールの水1Lあたりどのくらいの塩素が入っているかということ。
そう! プールの水を清潔に保つために調べています!
プールは大人数で使いますね。
入る前にシャワーやお尻洗いをしていても、何かの菌がプールに入り感染する可能性があります。
そのため多くの菌が入っても、やっつけられる濃度の塩素を入れています。
ただこの塩素、日光や人がプールに入ることで、また時間がたつと飛んで行ってしまいます。
なので、毎回プールに入る前にチェックしているのですね!