保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

「子どもと一緒に育ち合う」ー共同保育所 ごたごた荘(東京都 練馬区)

ほいくる編集部
掲載日:2013/07/13

保育士になろうと思ったきっかけは何ですか?

・強い想いがあったというよりは、なんとなく周りの環境がきっかけになって(身近な人が保育士をしているなど)
・幼稚園とは違う長い生活時間を“色んな人に見守られて育つ”という環境に関心を持って
・子どもに関わるようになって後から保育士の資格をとった

子どもたちの育ちを見守りながらいっしょに楽しんでいる先生方のことなので、きっと昔から保育士を目指していたのだろうと思ったのですが、意外な答えばかりでした。

でも、ごたごた荘を通して子どもたちといっしょに過ごすうちに、想いがどんどん深まっていったのだそうです。

大変なことってなんですか?

子どもの動きを尊重させてあげたい気持ちと、管理面でのバランス。

できれば管理的になってしまいたくはないけれど、保育所周辺の方とのお付き合いを考えると子どもの動きを制限しなければならないこともあるため、大人の都合に合わせなければならないという時には、どうにかならないかなぁといつも悩みます。

のびのびと大きな声を出して元気いっぱいに過ごせることは子どもの権利なのに、大人の都合で子どもにしわ寄せがいき、制限された環境で過ごさなければいけないのはかわいそうなので…

大人の都合を優先させてしまいがちな場面が多い中で、子どもたちの姿に丁寧に寄り添っていくことを忘れない姿勢ってとても大切なこどだなぁと感じました。

そんな悩みや大変さを抱えた時の対処法は?

職員同士でよく話し合います。

ごたごた荘はクラスがなく、グループで分かれるとしてもせいぜい大きい子(2〜5歳児)、小さい子(0〜1歳児)のふたつだけ。クラスがないので、担任ももちろんいません。

大きい子、小さい子の担当は日々入れ替わるため、職員みんなが子どもたちひとりひとりのことをよく知っています。その分、悩みや問題なども共有しやすいのかもしれません。

保育をするというよりも、いろんな子どもたちといろんな大人たちが一緒に生活をするという感じなので、「一人で抱えて思い悩む」ことがないのが、この環境の良いところだと思います。

また、「◯歳までにおむつをはずす」「◯歳からはおはしで食べられるようにする」というような、年齢においてのがっちりとした育ち目標はあえてもたないようにしています。

子どもたち一人ひとりの成長のペースを大事にしながら、色々な決まりや概念にしばられずに伸び伸びとした保育を行えるのも、ごたごた荘の保育の特徴の一つ。

大人の狭い価値観でしばられない保育を心掛けています。

というお話をしていただきました。

慌ただしい日々を過ごすうちに、いつの間にか「〜しなければ」「〜するためにはどうしたらいいんだろう」と思い悩んでしまうことが多い保育環境の中で、「一人じゃない。みんなでいっしょに。」という考え方は、職員にとっても子どもたちにとっても、心地良い環境だろうなぁと感じたお話でした。

子どもたちと過ごす中で、大切にしていることはなんですか?

子どもたちが自分で育とうとしているところを邪魔しない。

小さな危険も大きな経験。ケンカなども見守りつつ、子ども自身がいろんな経験をできるような環境作りを心がけています。

先生方にとって、「保育」とは?

一緒に育ち合う こと。

子どもを通して大人も学ぶことはたくさんあるので、お互いに育っていける環境が大切だなと思います。

子どもも大人も、その人らしくいられるのが「ごたごた荘」の保育環境です。

最後に…「夢」を聞かせてください

子どもも大人も、お互いが生きやすい環境が広がること。

育つことは、特別なことじゃなくて自然なこと。本当は誰でもできること。

そんな自然なことを自然な環境として大切にしていきたい。

そしてもう一つ。

ごたごた荘ができて30年。

ごたごた荘を通して子育てをしていた保護者たちは、苦労を共にしたからこそ本音をぶちまけて語り合える環境を作ってきました。

そのつながりは今も絶えることはなく、OB・OGとなってからも、共に子育てのことを語り合える関係が続いています。

また、ごたごた荘で育った子が、実習生や親として、再びごたごた荘に戻ってくることも。

そうしてどんどん広がっていく輪の中で、ごたごた荘がこれからもずっと在り続け、困った時に支え合い育ち合える環境の核となり、さらにそこから、大人も子どもも「人と人」として関わり合える環境が地域の中に網の目のようにもっと広く広がっていくこと。

それが夢です。

そんな温かく、深いお話を聞かせていただきました。

みなさんとても気さくで色々なお話を聞かせてくださり、ここには書ききれないこともたくさん!
ごたごた荘のみなさん、ありがとうございました!

もっと話を聞いてみたい方、「ごたごた荘」に関心を持たれた方は、ぜひこちらのリンク先をご覧くださいね。

共同保育所 ごたごた荘
http://www.gotagotasoh.net/