保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

なんでこうなった?子どもとあそびとハプニング〜HoiClue Lab.あそび探究室セッションレポート#02〜

雨宮みなみ
掲載日:2025/06/23
なんでこうなった?子どもとあそびとハプニング〜HoiClue Lab.あそび探究室セッションレポート#02〜

HoiClueで運営している「HoiClue Lab.あそび探究室」。 Labメンバーさんとのセッションの時間が、毎回発見や気付きにつながることばかりなので・・・3期目となる今年度より、その中身を月1回、みなさんにもほんの一部だけお届けしていきたいと思います。

今回紹介するのは、2025年6月のセッションより「なんでこうなった?子どもとあそびとハプニング」をテーマにした話のなかで出てきたエピソードたち。

新年度は、はじめましての関わりや環境のなかで、「・・・!?」となるできごとに出会うことって多いよね。というところからこのテーマが生まれ、みんなで話してみました!

あそび探究室のLabメンバー

保育園、こども園、幼稚園、発達支援施設、児童館、園の外部講師など、さまざまな場で子どもたちと関わっているLabメンバー。経験年数やバックグラウンド、お住まいの地域も全国各地それぞれです。
今年度は11名で活動しています。

朝からお弁当

幼稚園の3歳児クラス、新年度。
まだ何もかもが新しい環境のなか訪れた、初めてのお弁当の日のできごと。
気がつくと、登園して靴を脱いだ後すぐに、お弁当を食べ始めた子が・・・!(時間は、朝8時30分頃!)

やっと幼稚園が楽しくなってきたところで、「お弁当食べないで」と言われたらこの子はどう思うだろう?など考えながらまず話を聞いてみると、かわいいキャラクターのお弁当箱の説明や、すでに食べてしまったもの、お母さんと一緒に準備したことなどいろいろと話してくれて、どうやら前日から「お弁当デビュー」をとても楽しみにしていた様子。
“幼稚園に行ってお弁当を食べる”という楽しみでいっぱいで、それでそのまま、着いてすぐお弁当箱を開ける、という行動になったんだろうなあ。

(もし新人時代だったら、子どもの気持ちより先に、食べちゃだめ!とルールを優先していたかも。)

トイレにて

保育園の0〜2歳児クラスでのこと。
「トイレに行こうか?」と声をかけても全員が同時に動くことはめったにないのに、その日は声をかけると、なぜか全員が一斉にトイレに向かうという珍しいできごとが。

部屋にあるトイレは男の子用トイレが1つと、小さいトイレが3つ。すでに便器に座っている子、準備をしている子。そのなかで一人の子が、「ここ、あいてる!」と言って、すでに便器に座っている子の後ろ側に少しスペースがあることに気づいて座ろうとして…。バイクに二人乗りするかのように、便器に二人乗りするような状態。前の子は自分のことで精一杯だったので気づいておらず、後ろの子は空いている隙間に座れると判断したようす。

トイレの便器に二人で座るという発想に出会ったことがなかったので、びっくり。そもそも、みんなが一斉にトイレに行く(トイレに行く意識が揃う)こと自体も珍しくて不思議だったし、子どもたちの予想外の発想や行動にはいつも驚かされる。

恩返し?

1歳児クラスでのできごと。
おもちゃを持ったままトイレに行こうとする子がいたので、「棚の上に置いておくね」と約束して預かり、後で返した。別の子が同じようにやってきたので、大切に預かっておいて後で返した。

しばらくして、みんながおままごとをしていた時。突然、何人かの子どもたちが食べものや飲みものの玩具を持ってやってきた。よく見ると、さっきトイレに行くときにおもちゃを預かってあげた子たちばかり!「これ、どうぞ」と、差し出してくれるので、「ありがとう」と受け取ると、次から次へとプレゼントのように持ってきてくれる。これは私が約束を守ったことへの「恩返し」?きちんと返してくれてることが分かっているから?
親切にしてくれたことに対して親切を返す、という気持ちが、生まれながらにして備わっているのかなあ。

子どもの気持ちを見つけながら

「帰ろうか」と言うと、みんなさいごの一絞りとばかりに遊び始めたり、やっと終わって次に行こうと思った時に、「どうしてそれを見つけちゃったかな〜!」と思わずにはいられない、ふとしたものへ次々と興味が移っていったり。
そんな子どもたちとの関わりは、まさに日々が挑戦の連続でもあるけれど、子どもの気持ちを見つけながら、少しずつ関係を築いていく。それが保育の醍醐味なのかも。

“にじいろ”の概念

アートの場で子どもたちと絵の具遊びをしていた時のこと。
色を混ぜることが大好きな子どもたち。「なにいろになった?」「こんないろになった!」と楽しんでいる。大抵は赤や黄色など基本的な色しか使わないので、混ざると茶色のような紫のような濁色になることが多いなか、子どもたちはその色を持ってきて「みて、にじいろ!」と。

「え?これが、にじいろ(虹色)?」と思ったものの、よく観察していると、子どもたちにとっては「いろんな色が混ざっている」ことが“にじいろ”なのだと気づく。大人が想像する鮮やかな七色の虹とは違い、茶色っぽい色でも、その中にたくさんの色が混ざっていることを子どもたちは見ているのだなあ、と。

パレットに並んだ絵の具を使うときも、大人なら一色ずつ丁寧に筆につけるところ、子どもたちはパレット全体に一気に筆をつけて、すべての色を一度に使おうとする。そうして描いた絵も「いろんないろをつかった!」と誇らしげ。

子どもたちにとっては“茶色”を作ることもうれしい発見で、「ちゃいろになった!」「ちゃいろ、つくろう!」と言ってよろこんでいる。大人が「きれい」だと思う色や「汚い」と感じる色のような概念がまだなく、色そのものの変化や発見に純粋によろこびを感じている。子どもたちにとっては、色を混ぜる過程や変化する様子そのものが探究であり、創造なのかも。

***

ここには書ききれませんでしたが、「はじまりとおわり」「おわりは自分で決める?」「石の隠し場所」「子どもを“知る”ということについて」など、他にもいろいろなお話が。
突拍子もない子どもの姿にゲラゲラ笑ったり、なるほどなあと頷いたり、大人の感じ方・捉え方と子どもの感じ方・捉え方の違いを感じ、考えさせられたり。今回もまた、いろいろと耕された2回目のセッションでした。

みなさんは、こんな場面に出会ったらどうしますか・・・?
ぜひ読者のみなさんからも、「なんでこうなった?」というできごとをお寄せいただけたらうれしいです。

それでは、次回のあそび探究室レポートをおたのしみに・・・!

一緒に見られている記事