「造形活動後のこどもたち」〜造形あそびとこどもたち Vol.3〜
2023年度からスタートした、連載コラム「造形あそびとこどもたち」。
造形の時間を通して出会った子どもたちの姿から、その奥にある子どもの世界を覗いていきます。
今回出会ったのは…
造形活動後のこどもたち
造形活動では、こどもたちの作品の魅力はもちろんですが、形に残らない想いの魅力もたくさんあると思っています。
そこで、今回皆さんに紹介したい視点は、「活動後のこどもたちの姿」です。
造形活動が終わる頃、僕はこどもたちにこんなふうに声をかけます。
「さあ、そろそろお昼の時間だから、一旦おしまいにしようかね。」
そのあと、三つの流れを伝えます。
「もう完成して、お家に持って帰りたいっていう人は、カバンやロッカーにしまってね。」
「お昼ご飯のあとも続きをやりたいっていう人は、こっちの机を続きコーナーにするから、おいてね。」
「今日(の作品)は、もういいかなっていう人は、全部片付けちゃおう。」
すると、みんな、思い思いに片付けをはじめます。
その姿と作品の扱いに、その日の活動への満足度があらわれているんですね。
・完成した作品を大事そうにカバンやロッカーにしまう子
・片付けるのも惜しくてずっと手に持っている子
・続きコーナーの机に置く子
・自分の作品をゴミ箱に捨てる子
・片付けを積極的にやる子
・片付けをしないで遊んでいる子
・これあげるよと言ってプレゼントしてくれる子
などなど。
先日のおえかき遊びでも印象的な姿がありました。
一人目はユウちゃん。
彼女は、最初、少し自信がないようでした。というのも、隣を僕が通りかかった時に、すっと絵を隠したんですね。きっと周りの目を気にしていたのでしょう。
しかし、またしばらくしてみると、みんなと一緒に作品を使って、楽しそうにごっこ遊びをしているのでした。
そんなユウちゃんの活動後はというと・・・
自分の作品たちを両手いっぱいに抱えてしまっていました。
さらには片付けも率先してやっていました。
その姿にはユウちゃんの満足が溢れているようでした。
もう一人はケイくん。
彼は最初、他の友達とわいわい盛り上がりながら、「おばけ」を作って遊んでいました。それがひと段落すると、みんな別々に作るようになり、彼は一人で「新幹線 」を作ったのでした。
そんなケイくんの活動後は・・・
おばけは片付けて、新幹線だけを持って帰りました。
もちろん、友達とおばけを作っている時も楽しそうではありました。楽しい気持ちもほんとうでしょう。だけど、「その場を友達と楽しむ」ことと、「自分が作りたいものを作る充実」には、彼の中でしっかりと違いがある。
それは、とても素敵な感覚だなと思います。
もう一人は、普段から工作が好きで得意なヒロくん。
この日に作っていた作品も、僕からみれば良い作品ができていたように思えました。
だけど、そんなヒロくんは今回の活動後・・
それを持って帰りませんでした。
活動中にどれだけ夢中に作っていても、完成した作品が、他人からどれだけ上手にみえようとも、自分が納得いかなければ、ちゃんと捨てて帰るのでした。
あんまりシビアに捨てるので、こっちの方が「え?捨てちゃうの?せっかく作ったのに。もったいない。」なんて声をかけてしまいそうになります。
だけど、そうではないんですよね。
他人からどう見えようと、自分は満足していない。「自分の満足」を基準にするヒロくん。
これもとても大切な想いだと思います。
他にも、その日の活動に満足できた子ほど、片付けも積極的にやりますし、反対に片付けがいい加減な子は、「作品づくりに満足できなかった」 という気持ちが表れているように思います。だから、そんな時は、「片付けようね」と優しく声もかけますが、心の中では「次回は、自分の納得いく作品が作れるといいね」と、その悶々とした気持ちを受け止めるようにしています。
ということで、今回は活動後の作品の扱い方にみえる子どもの想いという視点で紹介させてもらいました。
みなさんはこどもたちのどんな行動に、どんな想いを汲み取りますか。
明日も子どもたちと穏やかで素敵な1日になりますように。