こんな保育記録を待っています!~第57回 令和3年度「わたしの保育記録」審査員からのメッセージ
今年で57回目となる保育実践記録「わたしの保育記録」の作品募集が始まりました。
審査員を務める4人の先生がたから、募集にあたってのメッセージが届いています。
作品を書く前に読んで、あなたもぜひご応募ください。
めざせ大賞賞金30万円!
▶募集要項はこちら
ひとりの子どもの姿、心の揺れを追うことから
神長美津子先生
大阪総合保育大学児童保育学部 特任教授
保育は、環境にかかわって生み出す子どもの活動に沿って展開します。したがって、次の日の保育を構想していくためには、子どもたちがその環境をどのように受けとめ、どのように活動を展開したかを記録することは必要です。
その際、ひとりの子どもに焦点を当てて記録することにも心がけましょう。一日の生活の中で、子どもの表情や行動の変化から、その子どもの心の揺れ・動きを感じてハッとすることがあると思います。その子の姿をさらに追っていくと、その子らしい行動や思いに気づきます。
印象的な子ども理解から、事実に基づいた子ども理解を重ねながら、保育者の子ども理解を磨いていくことが大切です。保育記録に記すことが楽しくなってきます。
子どもや保育者自身の“悩みや葛藤”を見つめる
今井和子先生
子どもとことば研究会 代表
子どもたちは、日々思いどおりにならない事態に遭遇し葛藤しています。その「葛藤こそ発達の原動力」といわれます。では、保育者はどうでしょうか?
なかなか日常的に「こうありたい保育」や「子どもとの相互理解」ができずに、悩んだりすることがあると思います。そんな悩みや葛藤を抱えた保育者だからこそ、子どもたちを支え、援助することができるのではないでしょうか。なぜなら悩んだり葛藤したりすること自体が変わる力を与えてくれるからです。
悩みや葛藤を乗り越えた先に、新しい自分や子どもと出会えるかもしれません。そんな日ごろの悩みや葛藤をぜひ、保育記録に残し、物語ってください。
個人の成長とともに集団の成長を促す記録
天野珠路先生
鶴見大学短期大学部 教授
保育の記録は、まず自身の保育をふりかえり、明日からの保育に生かしていくためのものであり、保育者自身の成長やスキルアップにつながります。計画どおりにことが進んだ、予定していたことができなかったといった反省点だけを記すのではなく、子どもの言動や遊び・生活への意欲、心の声をとらえ、子どもへの理解を深めることにつながる記録でありたいものです。具体的な子どもの姿や表情、しぐさ、発語や会話などが丁寧に記されていると、第三者が読んでもその様子がありありと目に浮かび、保育現場の魅力も伝わるはずです。
また、子どもと保育者とのかかわりだけでなく、子ども同士がやりとりを重ね、葛藤を覚えながらも互いにその気持ちを理解したり、友達関係を広げながら一緒に遊んだり活動したりする過程を記録していただきたいと思います。その中で 「個」の成長とともに「集団」(クラス)としての成長が促されていくことでしょう。
リアルな再現、物語性、タイトルづけで完成する
加藤繁美先生
東京家政大学子ども学部 教授
子どもの活動要求と保育者の教育要求の間で展開される保育実践の醍醐味は、揺れ動く両者のダイナミズムの中に存在します。そしてその実践を記録した保育記録の質を決定づけるのは、記された言葉の事実性と物語性にあります。
事実を書くのは当然ですが、子どもの言葉と保育者の言葉がリアルに再現されているだけで記録のリアリティーに差が出てきます。そうやって再生された事実の記録をストーリーに基づいて再構成し、記録に物語性を持たせると保育記録はグッと読み応えのあるものになっていくのです。
ただし最後に手を抜いてはいけないのがタイトルです。実践の本質を端的に表現し、読者の想像力を喚起するタイトルがつけられるだけでひと味違った記録になること間違いなしです。
主催/一般財団法人 日本児童教育振興財団
後援/(株)小学館
問い合わせ先/
電話:03-3230-5686(『新 幼児と保育』編集部)
Eメール:yojitohoiku@shogakukan.co.jp(件名を「わたしの保育記録係」としてください)
第57回 令和3年度「わたしの保育記録」作品募集(募集は終了しました)
応募いただいたすべての方に参加賞を贈呈します。