【書籍紹介】それゆけ!長谷川義史くん
ほいくる編集部がお届けする本、今回は『それゆけ!長谷川義史くん』(小学館)。
長谷川義史くん、といえば…
『おへそのあな』『いいから いいから』『じゃがいもポテトくん』『だじゃれ日本一周』…
みなさんも一度は手にとったことのある絵本があるのでは?
インパクトあるイラストやユーモアあふれ出すストーリーで、子どもから大人まで人気の絵本作家さんです。
この本は、そんな長谷川義史さんが自分のことをしゃべり尽くした?!初の「自分語り本」です。
この書籍について
書籍名:それゆけ!長谷川義史くん
著:長谷川 義史
出版社:小学館
こんな人におすすめ
・作家のエッセイやコラムを読むのが好きな人
・絵本が好きな人
ほいくる編集部のおすすめポイント
絵本作家・長谷川義史くん自ら選んだ作品は…?絵本ギャラリー10
2000年、『おじいちゃんのおじいちゃんの おじいちゃんのおじいちゃん』で絵本作家デビュー。以降、手がけてきたたくさんの作品の中から長谷川義史くん(この記事ではあえて「くん」で呼ばせていただきます!)が自ら選んだ絵本10作品が紹介されています。
デビュー作『おじいちゃんのおじいちゃんの おじいちゃんのおじいちゃん』。各時代の背景を描くことにとても苦労し、企画から3年もの歳月をへて絵本になったのだそう。
絵本の中の印象的な場面とともに綴られているのは、作品を描いたときのエピソードや当時の記憶、胸に刻まれている想い。
「お腹のなかでは、どうやったですか?」
小さいわが子に質問して返ってきた、ファンタジックな回答。そこからヒントを得たのが『おへそのあな』だそうです。
『てんごくのおとうちゃん』は、小学校1年生の時に亡くなったお父ちゃんとの数少ない思い出をたどって描いた作品。絵本に描くことでお父ちゃんが生きていたことを残したい…お母ちゃんには内緒でお父ちゃんに買ってもらったホットドッグを頬張るシーンは、胸に沁み入ります。
戦争や放射能問題に対して貫く想い。一方で“しょーもなー”なだじゃれをこよなく愛し絵本にまでしてしまう大阪お笑い魂。
読み進めるほどに、長谷川くんの絵本にも、ユニークで人情味あふれるその人となりにも惹き込まれていきます。
長谷川くん、とことん自分を語る!こどもの頃のこと、家族、初恋、絵本のつくり方…
“自分を語る”といっても、インタビューとも違う、 エッセイやコラムでもない…。
この本のおもしろさは、 友だちのオッサン(パパ友・寿 太郎さん)が聞き手となって、 ビールや熱燗片手に盛り上がるおじさんのおしゃべりを、隣の席で聞いているような感覚…とでもいうのでしょうか。
気取らない、きっとこれが素の長谷川義史くんなんだろうな、 と感じる語り口。 寿太郎さんとの絶妙な掛け合いは、さすが関西出身のお二人。 パパ友同士、 かつてわが子の幼稚園行事の出し物で漫才を披露したこともある( しかもその台本を書いたのは長谷川くんご自身!)というのですから、おもしろいはず、納得です。
かれこれ半世紀前の子ども時代の思い出を懐かしそうに、どこか飄々と語る長谷川くん。
小学1年生でお父さんが亡くなった直後に、 親と死に別れたのは名前の画数がよくないからだと、親戚から突然「ヨシオ」 に改名するように言い渡された話など、 突っ込みたくなるエピソードに思わず吹き出してしまったり。
人生の酸いも甘いもやわらかく受け止め、 笑いに変えてしまうおおらかな大阪の風土も、今の長谷川くんにつながっているよう。 絵本のなかには、こうした子ども時代のできごとや思い出が随所に散りばめられていることにも改めて気づきます。
そんな誰にでも必ずある子どもとしての体験や気持ちが、 読者をとらえて離さない長谷川くんの絵本の大きな魅力のひとつなのかもしれません。
出版社からの内容紹介&目次
超人気絵本作家、初めての自分語り本!
巻頭カラーページは長谷川義史氏ご自身が厳選した絵本ガイドBEST10。デビュー作『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』から、転機となった『おへそのあな』『いいからいいから』などのエピソード、『しげちゃん』で女優・室井 滋さんと出会ったことによって、仕事の幅が広がったことなど、絵本の裏側にある長谷川氏の歴史をつづります。
本文ページは、関西弁でぶっちゃけ語りの、最初で最後の自叙伝。ナビゲーター役にパパ友・寿太郎氏をむかえ、笑いながら、長谷川氏の幼少期にタイムスリップした感覚を味わえます。この本のために描き下ろしたイラストが100点以上も掲載され、目で見ても楽しめる内容です。
それゆけ!長谷川義史くん
著:長谷川 義史
定価:本体1,300円+税
判型/頁:四六版/176ページ
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ふっと軽く子どもの頃の自分に戻って、今の自分と行ったり来たり。
やっぱり「長谷川くん」と君付けで呼びたくなってしまうくらい、今やおじさんのはずの長谷川義史くんは、少年時代の延長にいます。
それはこの本を読みながら、どこかちょっと、うらやましくもなるところ。
子どもだったから、大人になったんだし…そんな境界線を取っ払い、今のありのままの自分や気持ちを見つめたり、気の合う仲間とざっくばらんにおしゃべりしたりする時間をつくってみたくなりました。
そしてこの本を読んでから改めて長谷川くんの絵本を開いてみれば、これまでとは違う味わいを感じられるかもしれません。