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「このまちで、子どもも保育園も育っていく」ー飯野おやこ保育園+調布のまち(東京都 調布市)

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更新日:2021/10/29 掲載日:2019/07/02
「このまちで、子どもも保育園も育っていく」ー飯野おやこ保育園+調布のまち(東京都 調布市)
今回訪れたのは、東京都調布市にある“医療法人社団飯野病院”が運営する「飯野おやこ保育園+調布のまち」。

2018年8月に開園し、一から園づくりをはじめて9ヶ月の新しい園です。

子どもも大人も共に、保育、そして生活の場を作りつづける過程のなかにいる。ーそんな日常におじゃましてきました。

保育のようす

「飯野おやこ保育園+調布のまち」を訪れた、5月下旬。
この日は朝から気持ちの良いお天気で、玄関に植えられた様々な木々がキラキラ光りながら登園してくる親子を迎えていました。

エントランスをぬけると、「1・2・3・4…9・10」とじゅう数える子どもたちの声と、ティンシャという美しい音色のチベット楽器の音が聞こえてきます。

そっと部屋をのぞいてみると…
「サークル」と呼ばれる、朝の集まりのはじまりの合図でした。

テーブルに置かれた紫陽花と、日付が書かれた黒板。
先生が拾ったという緑色の果実。

「明日から6月だね」
「あじさい、きれい〜」
「それ知ってる、“うめ”でしょ!」

子どもたちは、思い思いに感じることを伝え合います。

そんな子どもたちに、
「先生、このうめの美味しい楽しみ方を知っていてね。“うめジュース”を作りたいんだけど、一緒にうめを探しに行かない?」
と、担任のまゆか先生が提案をします。

「いいよ、いこう!!」

季節の移り変わりを感じる会話の中で、今日の予定が決まりました。
他クラスと合流して、さっそく散歩へ出かけます。

行き先の公園へ向かう道中も、花や虫との出会いを楽しむ子どもたち。
そして、それをゆっくりと見守る先生たち。

「園庭がない子どもたちにとって、道も公園も、この町全てが自分たちの居場所なんです」と、散歩に同行する深沢園長先生が教えてくれます。

その言葉通り、子どもたちは訪れた公園のこともよく知っていて…
到着するとすぐにうめの木がある場所へ向かいます。

地面に落ちているうめを拾う子もいれば、木になっているうめを採る子も。
※うめの採取は了承を得ています。




それぞれに集めた、たくさんのうめ。
ここからどんな遊びが広がり、その遊びがどんな風に日々の生活のなかへ入っていくのでしょうか。

この日、幼児クラスが公園へうめを採りに行っている時間、2歳児クラスでは「かぜ ✕ かたち」をテーマに園の外へ出かけていたそう。

都会のなかでも自然や季節を感じたり、それぞれの保育者がテーマを持って保育を行なったりする姿がとても印象的だった、飯野おやこ保育園+調布のまち。

どんなことを大切にしながらこの新しい園をつくり、日々保育を行っているのか。
柔らかな眼差しで子どもと関わる、園長の深沢 綾子さんにお話を伺いました。



飯野おやこ保育園+調布のまちの特徴はどんなところ?


飯野おやこ保育園には、「こどもも大人も共に育ち合う」、「お互いに凸凹(ちがい)を大切にする」という理念があるんですけど、それを子どもたちに求めるのではなくて、まず大人たち自身が大事にすることから始めていることが、一つ大きな特徴だと思います。

たとえば、保育監修にこどもみらい探求社に入ってもらっているのですが、開園前に「職員の得意なことや苦手なことをお互いに知ること」を目的とした研修をしてもらったりしました。

先生たちが、自分の得意なことも苦手なこともどちらもさらけ出せる関係性を築けたことによって、とてもいいチームワークでこの園をスタートできたと思っていますし、その職員の人間関係がそのまま子どもたちや保護者にも伝わり、広がっているのを感じています。


エントランスには、職員の顔写真と自分の特徴が9つ書かれたプロフィールが飾られている


いまも日々対話を大切にしたり、保育のなかで「世界を広げる時間」という職員の好きや興味を子どもたちに紹介する時間をつくったりしているんです。
子どもたちは、中国語を披露したり、学生の時にファッションショーで作ったという衣装を紹介する先生たちの姿をとても面白そうに、興味深そうに見ていて。

そのあと「ニーハオ!」と挨拶する子や、遊びのなかでファッションショーをする子もいるんですよ。

最近印象に残っている「飯野おやこ保育園らしいな」と思うエピソードは?

この保育園は町のなかで子どもも保育園も育っていきたいという想いから、「飯野おやこ保育園+調布のまち」という園名がついています。
その想いの通りに、実際子どもたちはほぼ毎日町へ繰り出しては、商店街へ行ったり、雑木林や公園へ行ったりしていて。

幼児クラスの子どもたちは、給食やおやつで食べる食材を買いに行くこともあって、そのなかで地域の人たちが声をかけてくださり、交流する機会が増えてきました。

それが日常の当たり前の風景になってきていることをすごく嬉しいなと思うと同時に、飯野おやこ保育園らしさだなと感じています。

保育で面白いなと感じることは?

飯野おやこ保育園が始まって9ヶ月。先生たちと保育の内容や環境について考え、試行錯誤する日々で大変なことも多いけど、そんな毎日の中でも、保育園を作っていく面白さや楽しさを感じています。

この園の良さでもあり、難しさでもあるんですけど、ほぼ全てのことをゼロベースで職員と共に対話をしながら考えてつくってきたし、現在も作っている真っ只中なんです。

「子どもたちにとって一番いいことはなんだろう」ということを軸において、どんな環境にする?どう一日過ごす?どんな行事をする?しない?どういう風に子どもに声かけをする?…と、小さなことから大きなことまでみんなで考えて、話し合ってはやってみる、を繰り返す。


スタッフルームには、行事についての考えを集めるウォールも。

それぞれの職員が今まで自分が当たり前と思って疑問にも思わなかったことについても、一から考えたり、向き合ったりすることの連続だし、一歩進んでは、半歩さがって、でもまたそこから一歩進んでという感じで、歩みはゆっくりかもしれないんですけど(笑)。

でも保育って本来はきっとこういう風にないものを嘆くのではなく、自分たちで行動して、工夫して、出来上がっていくものなんじゃないかと、この園を職員のみんなと一緒に作っていくなかで感じるようになりました。

保育で大切にしていることは?



コミュニケーションですね。

つい“子どもは”、“◯歳は”…と、ラベルで判断してしまいそうになることもあると思うんですけど、同じ人はひとりもいないので、それぞれの表現に気づくこと、そしてそれを受け取って、こっち側の気持ちも届けることを大事にしています。

どんなに小さくても、言葉や身体をつかって想いを伝える。だから、目と目を合わせて、この子はなにがいいたいのかを感じ取ろうとすることから、まずは始めてみること。

この乳幼児の時期に経験する、人と関わることの楽しさや安心感が、子どもたちがここから世界を広げて、もっと広い社会にでていった時の土台になると思うんです。




インタビュー・文:三輪ひかり
写真:雨宮みなみ 

飯野おやこ保育園+調布のまちの基本情報

名称:飯野おやこ保育園+調布のまち
運営:医療法人社団飯野病院
住所:182-0024 東京都調布市布田4-9-4
URL: http://www.iino-hospital.or.jp/oyakohoikuen
Instagramはこちら

※2019年6月現在、飯野おやこ保育園+調布のまちでは、職員募集をしています。

募集内容

<募集職種>
保育士

<基本給与> 
260,000円~
(保育経験3年未満:210,000円~)

<賞与>
年2回 / 昇給:毎年1回

<福利厚生>
 ・借り上げ住宅費用の補助
 ・飯野病院での診療費の補助
 (本人・扶養家族)
 ・子連れ出勤可能

<勤務時間>
シフト勤務
(1日実働8時間 6:45~20:15の間)

※他、保育補助・病児保育士も募集しているそうです。