イクメン社長が考える、いい保育園って?サイボウズ青野さんが答える<後編>
僕も昔は、子育てが嫌いだった。でもある日、神様が降りてきて...
僕ね、実は昔、子育てに関わることが辛かったんですよ。食べさせようとしても、離乳食はブロックされるし、すぐにイヤイヤ言うし。なんて生産性が低い行為なのか。
意外です!何が変化のキッカケとなったのですか?
ふと、神が降りてきたんですよ(笑)。今、ご飯をあげている子が大きくなって、社会に出るまで教育する、これって経済活動を創出しているんじゃないかって気付いて!その時、「商売よりも子育てが大事。子育てがあってこそ、商売が出来る」ということを悟ったんです。
その子どもがいずれサイボウズの未来のお客さんに...というのは冗談ですけど、ただ誰かにとっての未来のお客さんであることは違いないわけであって。だから子育てって、日本経済の未来をつくる、窮境の経済活動だと思います。
ですからサイボウズでも、子どもがいるなら、必ず子育てに携わってほしいと言っています。子育てという行為の重要性を社長が社員に、そして世間に対してしっかりと伝達していかなければ、会社としても尊敬されないし、憧れられる存在にはなれないわけですから。
でも、子育てを大事にするからこそ、しっかりと実績を出していかなければいけない。何気にプレッシャーは大きいですよ。
保育園も会社も同じ。働く環境を整えなければ、選ばれない。
ニュースでも「ブラック企業〜」とか話題になってますけど、最近は会社が人を選ぶんじゃなくて、人が会社を、つまりは働く場所を選ぶようになりましたよね。劣悪な職場だと、すぐに噂が広まってニュースにまでなって。結果、人が採用できない、人が辞めるで会社の運営に支障が出るというか。
もう、子育てしながら働くことがスタンダードなわけですから、ちゃんと働く環境は整えないといけないなと思うわけです。ウチの会社も、制度を整備した結果、ぐんと辞める人が減りました。
青野さんは国の変化も感じますか?介護や保育の現場に対して協力的になっているという。
今、国も出生率1.8、介護離職0を目指して色々と動き出していると聞いています。これまでは逆風だったかもしれませんけど、徐々に風は追い風になってきているのかなと。とはいえ、保育園も会社と同じで。やっぱり、働く環境は整えていかないといけないですよね。だって、保育士さんたちの存在がなければ僕らはこうやって安心して働くことが出来ないわけですからね。
*青野慶久(あおのよしひさ):1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立。
2005年4月代表取締役社長に就任(現任)。
社内のワークスタイル変革を推進し離職率を6分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。
また2011年から事業のクラウド化を進め、有料契約社は12,000社を超える。
総務省ワークスタイル変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。
著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)がある。
*雨宮みなみ(あめみやみなみ):こども法人キッズカラー代表。中学生時の職業体験で、自然と自分が笑顔でいられる保育の世界に魅了され、保育士になる事だけを目指し20歳で保育園に就職。保育の現場で感じた保育士の不安や負担を楽しさに繋げたい、という想いから2010年にキッズカラーを設立。同年HoiClue♪をスタート。2014年に第一子を出産し、一児の母でもある。
(執筆:サムライト 後藤亮輔/撮影:サムライト 末永瞳)