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第1回 いまの働き方に、モヤッとすることありますか…?〜わたしが選ぶ、はたらきかた。 〜

竹原 雅子
掲載日:2021/12/06
第1回 いまの働き方に、モヤッとすることありますか…?〜わたしが選ぶ、はたらきかた。 〜

現場で子どもたちと向き合うときには、同じ“保育者”。
でも“労働者”としては、それぞれに違う形をもっています。

正職員、非常勤職員、パート・アルバイト…。
今の社会では様々な働き方があるように、保育の現場でも様々な働き方があります。
あなたは、あなた自身が選んだ今のはたらきかたに、満足していますか?

保育者のみなさんが現場で抱える葛藤や迷いをお互いに知り、共に考えたり意見交換をしながら、それぞれが納得のいく「はたらきかた」を見つける手がかりをつかんでいってほしい。

「わたしが選ぶ、はたらきかた。」連載のスタートです。


第1回は、パート、正職員。
それぞれの形で働く3人の保育者の、今のリアルな本音を聞いてみました。

もっと保育に、やりがいを持ちたい

さとなさん
(大阪府)私立保育園勤務 /パート職員

保育士になって10年目、2歳と4歳の子育てを優先しながら、現在はパート保育士として働いています。

今、住んでいる場所に引っ越してくる前は、すごく働きやすく、やりがいある保育園に正規職員として勤めていました。担任も持ってました。
立ち上げから参加した園でホントに大変だったし、課題もいろいろあって、悩んだり、みんなで話し合って改善を重ねたり。
わたしは会議が好き。自分の意見もしっかり伝えるし、ほかの人の意見を聞くことも、どうしたらよりよくなるか?を皆で考えることも好きです。
だから正規職員のときは、忙しかったけど、楽しかった。

でも、今の現場ではパートの立場で会議に参加することって…無いんです。
じゃあ、なんでパート勤務を選んだのかというと、フルタイムや正規職員になると、早番・遅番のシフトが絡んでくる。非常勤でも担任は持てるけれど、やっぱり早番や土曜日出勤がある。
うちは実家が遠いし夫も平日は帰宅が遅いので、子育てのサポートが見込めません。

担任を持っていなければ、仮に自分の子どもが病気になったときにも休みをとりやすいんです。
それに私自身は自分の子育ても優先したい気持ちが強くて。職業柄でもあると思うけれど、わが子と向き合う時間もしっかりとりたい。
だから正規職員としての復帰は無理…と最初からあきらめてしまいます。

自分も子どもを持つ保育士になって、保護者と子育ての悩みや楽しさを思いっきり共感し合う事ができるようになりました。今はママ保育士として、子どものいいところも悪いところも全部受け止めて、保護者と向き合うことができると思います。これは、現在進行形で子育てしている私の強みだと思うのです。

だから保育士として働くのなら、今もやっぱり本当は担任を持ちたいし、いろいろ意見も出し合いたい、ちゃんと園運営に携わりたい。自分らしく子育てと両立しながら保育を続けられたら…と思います。
時短でも担任を持つことができたり、会議に出ることが可能だったりしたら…もう少し、気持ちが違うと思うのですが。

…とはいえ担任が時短勤務だと、お迎え時間に保護者と会えないことが多くなりますよね。
朝や個人面談で話せたとしても、保護者のみなさんは、夕方のお迎え時にもその日の子どもについて話したいと思います。

それを考えると、やっぱり時短保育士が担任を持つ、なんて、ぜいたくな話なのでしょうか…。



もう少しゆとりを持って、働けたなら

いずみさん
(神奈川県)私立幼稚園勤務/正職員 

大学卒業後、新卒で入った現在の園に勤めはじめて、今年で27年目になります。
小学校6年生になる息子と夫、3人家族です。

子どもが生まれ、復帰してからもずっと毎年担任は持ち続けています。
…もちろん、大変です。
わが家は夫も会社勤務で、お互いの実家も近くにはないので、日頃の子育てのフォローは得られなくて。仕事が遅い日はファミリーサポートを利用したり、一人で留守番をさせたり。
頼れる両親がそばにいたらなぁ、一般の会社のように子どもが小さい時には時短勤務制度があったらなぁ、そう思うことはよくありました。
働く母のための制度が整っていない園なので、自分でなんとか乗り切らなくちゃならない。
そのために必要な労力とお金は、自分で負担しなくてはなりません。

昨年度は、出産後ずっと避けてもらっていた年長クラスの担任になりました。毎日仕事の持ち帰りがあり、週末も家で仕事。せっかくの休みなのに、気持ちが休まることがない。
土日出勤やお泊り保育もあるのに私の勤める園は、給与が安い上に、手当が一切つかないんです。
ホントにブラックだなぁと思うし、不満はあります。

もうベテランと呼ばれる勤務歴なので、毎年学年リーダーではあるし、何かあると園長は私たちの世代に任せてくる。
保護者からの要望やクレームも以前に比べると難しいものが増えてきています。コロナ禍で保育や活動の中でイレギュラーの対応も多く…常にそんな責任が付きまとう。

正直、パート勤務の方を見ていいなぁと思うこと、あります。
シフト制の働き方は自分のプライベートに合わせて融通がきくのに、お給料はちゃんともらえる。
自分が精神的にも肉体的にも本当に疲れている時は、パートさんみたいに、週3〜4日とか、短時間での勤務ならラクだろうな…と思います。

それでも正職員をやめない理由は、経済的な理由です。共働き、夫婦で家庭の収入を支えていかなくちゃいけない。

それに私はこの園の保育そのものは、好きなんです。
30人の子ども一人ひとりと人間関係を築き、その子の成長を責任持って支援をする。
覚悟を持っていないとできないし、それが担任の役割だと思っています。




保育者として、保育だけに打ち込みたいけれど…

まさと さん
(西日本)公立幼稚園勤務/正職員

西日本の公立幼稚園に勤務しています。公立保育園で保育士を4年、その後幼稚園に異動し今年で5年目になります。

僕としては両方を経験して、幼稚園教諭の方が仕事のスタイルが自分に合っているなぁと感じています。子どもと過ごす時間は15時まで、その後は準備や事務の仕事に充てられるので、1日の中に区切りがあって仕事がしやすい。

このまま幼稚園で保育者をしたいと思っているのですが、公立なので、役所の人事異動と同じように職員にとって希望通りとはいかない保育園、幼稚園間の異動がいつあるかはわかりません。気持ちはちょっと、複雑ではあります。

3つの公立園で非常勤を含む職員50人のうち、男性保育者は3人、女性がほとんどの職場なのですが、数年前、男性の教諭と同じ学年、隣のクラスを受け持ったことがありました。

あくまでも僕の経験上ですが、女性の同僚に対してなにかを提案すると、まずは周りの人間関係の中で確認してから…という感じで、なかなか前に進まないことが多かった。男性同士だと「あれを、やってみない?」「こう変えてみよう」と提案すると「そうだね!」と直ぐに判断して実行できたりして、仕事も進めやすかったりする。

それまでずっと男性一人でやっていて、自分自身は女性が多い雰囲気の中にも馴染みやすい方だと思っていたので特には感じていなかったんですけど、初めて同性の存在って大きいなぁ、ちがうなぁって感じた経験でした。

でも、男性職員をもっと増やしてほしいという希望を園側に伝えたことは…ないですね。田舎で子どもの数が減っていて、そもそも採用自体がなくなってきている状況なので。

僕の住む自治体では保育園・幼稚園の先生たちは専門職として切り離されるのではなく、一般職として扱われています。公務員の立場としてしっかり守られているのは実感しています。

その代わり自治体との園運営のいろいろな事務仕事も、役所任せでなく自分たちでやらなくてはなりません。選挙の投票日には、投票所で役所の職員と一緒に事務周りの仕事をしたりします。
そういう保育以外の仕事をしなくてはいけない時間の大きさに、葛藤はあります。

キャリア・経験が上がるほど、勉強していけばいくほど、保育だけに打ち込む時間って必要だと感じる。自分も園もまだまだ足りていないことがあるので切磋琢磨していきたいけれど、なかなかそうはいかない。
同じように考えている同僚もいるのですが、やりたいと思うけどできない…っていう状態が普通になっているんです。

保育のことをいろいろとやっていきたいけれど、そこだけに集中できない環境。
転職ということがよぎることも、やっぱりありますね。



***

シリーズ「わたしが選ぶ、はたらきかた。」。
第2回は「正職員、パートタイム…保育者の働き方で役割に違いってある?」。
何人かの園長先生たちに、お話を聞いてみました。


この記事の連載

第2回 正職員、パートタイム…保育者の働き方で役割に違いってある?園長先生たちに聞いてみました。〜わたしが選ぶ、はたらきかた。 〜

第2回 正職員、パートタイム…保育者の働き方で役割に違いってある?園長先生たちに聞いてみました。〜わたしが選ぶ、はたらきかた。 〜

正職員、パートタイム…保育者の働き方で役割に違いってある?
もちろんこれは保育業界に限らない話だと思います。
しかし、保育業界だとそれがより如実に現れてはいないでしょうか?

そこで3つの園の園長先生に、リアルな実情をお聞きすることにしました。

記事への感想、みなさんの「はたらきかた」に対するご意見、お待ちしています。