保育者のためのアタマジラミの基礎知識
感染のメカニズムと最新の対応策を知って拡大を防ぎましょう。
そもそもアタマジラミって?
皮膚から吸血してかゆみや湿疹を引き起こす
アタマジラミは人間の頭髪に寄生し、一生で50〜150個ほどの卵を頭髪の根元に産みつけて繁殖します。頭髪についた卵は指でつまんでも簡単には取れないほどしっかりとくっつきます。7日ほどで孵化し、寿命は約1ヶ月です。
人間の血液を餌とし、頭皮から血液を吸って生きています。吸血によるアレルギー反応でかゆみが生じ、頭をかきむしることで炎症を起こすこともあります。

季節を問わず発生する
コロナ禍になりをひそめていたアタマジラミは、感染症対策の行動制限が解除されてから再び増加傾向にあります。夏のプール開きの時期に見つかることが多いですが、冬のはじめにも多発しています。アタマジラミは一年中どの季節にも発生する可能性があるのです。
こうして感染する!
ヒトの頭から頭へとうつる
アタマジラミは頭と頭が触れるなど、主に直接的な接触でうつります。幼い子どもは頭を寄せ合って遊ぶことが多いため感染率が高いです。頭同士が直接触れなくても、身のまわりのものを介してうつることがあります。たとえば帽子、寝具などです。
子どもから大人にも感染
アタマジラミが寄生するのは子どもだけではありません。頭髪の接触があれば年齢に関係なく感染します。保育施設の中で、子どもと保育者の間で感染することもありますし、家庭では親子やきょうだい間で感染することもあります。
清潔にしていても感染する
アタマジラミの発生を不衛生と結びつけて考えている人がいるかもしれませんが、現在の日本において、不衛生が理由でアタマジラミが流行することはほぼありません。普段から清潔にしている人にも感染のリスクはあります。
自然にいなくなることはほとんどない
頭髪にアタマジラミの成虫がいる限り卵を産んで繁殖を続けるので、残念ながら自然にいなくなることはほぼありません。通常のシャンプーやクシで除去するのは難しいですが、専用の駆除剤を使えば、効果的に駆除することができます。
アタマジラミの見つけ方
頻繁に頭をかいている子がいたら頭髪をチェック
アタマジラミは肉眼でも見ることができます。子どもがかゆがっていたら、後頭部や耳の後ろの髪の根元を中心に観察します。ただ素早く動くので見つけづらいです。
卵を探すことがポイント
卵は成虫より見つけやすいでしょう。幼虫が孵化した後の卵の抜け殻は一見するとフケのようですが、指でつまんでも簡単には取れないのが特徴です。
発生時の保育施設での対策
全員の子どもの頭髪を確認
発生に気づいたら、子ども全員の頭髪を観察します。保育者が慌てたり不安そうな態度を見せたりすると、子どもの心を傷つけるので気をつけましょう。
衣類や寝具の共用や接触を避ける
帽子やタオル、寝具などが感染を媒介するかもしれないので共用を避け、重ねて置かないようにし、毎日洗濯しましょう。
保護者にしてもらうこと
市販の薬剤で駆除してもらう
感染がわかったらシラミ専用の駆除剤を使って駆除します。しかし、長年使用されてきたピレスロイド系薬剤に対し、抵抗性を持つアタマジラミが出現し、駆除が困難になるケースが増えています。そこで近年、有効成分「ジメチコン」を使用した駆除剤が開発され、効果的な駆除方法として注目を集めています。

頭髪に触れるものをこまめに洗濯
頭を拭いたタオル、枕カバーなどアタマジラミが付着している可能性があるものは毎日洗濯します。洗う前に55度以上の湯に5分以上浸ければ、アタマジラミやその卵は死滅します。ほかの洗濯物と分けて洗うことで、家族への感染を防ぎます。

Memo
医療機関を受診しなくてもいい
受診は不要ですが、もし頭皮をかきすぎて炎症などがみられる場合には、皮膚科を受診します。
髪を切らなくていい
アタマジラミが生息する毛根近くに駆除剤が行き渡るように塗布することが肝心です。
保育園や幼稚園を休まなくていい
施設内で感染が確認されたことは全体に向けて周知します。個人が特定されないように注意しましょう。
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従来使われているピレスロイド系薬剤はシラミの神経系に作用します。長年使われてきたことでピレスロイド系薬剤に抵抗性のあるアタマジラミが出現、駆除が困難になりました。アース製薬のシラミとりローションは薬剤がアタマジラミやその卵を包み込み、有効成分ジメチコンでコーティングし、アタマジラミの呼吸・排出器官をふさいで致死させます。ヘアオイルのようなさらっとした使用感も特徴です。
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