保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]by 小学館

取り入れてみたら子どもに変化があった“モノ”・“コト”〜HoiClue Lab.あそび探究室セッションレポート#03〜

水岡香
掲載日:2025/07/18
取り入れてみたら子どもに変化があった“モノ”・“コト”〜HoiClue Lab.あそび探究室セッションレポート#03〜

HoiClueで運営している「HoiClue Lab.あそび探究室」。 Labメンバーさんとのセッションの時間が、毎回発見や気付きにつながることばかりなので・・・3期目となる今年度より、その中身を月1回、みなさんにもほんの一部だけお届けしていきたいと思います。

今回紹介するのは、2025年7月のセッションより「取り入れてみたら子どもに変化があった“モノ”・“コト”」をテーマにした話のなかで出てきたエピソードたちです。

あそび探究室のLabメンバー

保育園、こども園、幼稚園、発達支援施設、児童館、園の外部講師など、さまざまな場で子どもたちと関わっているLabメンバー。経験年数やバックグラウンド、お住まいの地域も全国各地それぞれです。
今年度は11名で活動しています。

ダンボールだから広がるあそび

2歳児の子どもたちが積み木にはまったときのこと。
積み木の数が足らず、保育者が積み木の代わりにと置いたダンボール(B5サイズ)をままごとコーナーに持っていき、まな板やお皿にしたり、ファミレス用の注文用タブレットにしたり、2枚組み合わせてノートパソコンや連絡帳にしたり、自由に見立てて遊んでいた。
貼っていた画用紙が無地だったこともあってか、子どもたちの発想も広がりやすかったんだなぁと。いろいろなものを作ってしまいがちだけど、余白を残しておくことも大事だなと感じた。

給油ポンプがあそびに?

飼っているメダカの水の入れ替えに、灯油の給油ポンプを使っている家族を見て、「これ、水でもいいんだ」とひらめいた。

園で色水遊びの場に持っていくと大人気に!
特に男の子は夢中になり、水の移動をさせたり、満杯に水を入れたペットボトルからボコボコッと溢れるのを面白がったり、他の子にペットボトルを持ってもらい移動式で水を撒いたりしている様子は大人から見ても「考えたな」と思う瞬間だった。

両手がふさがると、容器を足で押さえて使うなど、子どもたちは「どうしたらこれをこうやってできるか」ということを考えながら遊んでいた。

※灯油ポンプを実際に灯油の移し替えに使用している地域やご家庭が多い場合は、保育に取り入れるかどうかをご検討ください。また、子どもたちに本来の使い方を伝えて注意喚起するのも良いかもしれません。

カーテンレールでからくり装置

どんぐりを転がして、テレビで見たからくり装置の遊びをしていた子どもたち。
はじめは木や砂場のおもちゃを使っていたけど、もっと長さが欲しくなり保育室の横の物置になっている場所からカーテンレールを発見。

「どこから持ってきたの?」と驚きつつ、子どもたちの発見とその後のようすを見守っていると、カーテンレールの溝がどんぐりを転がすのに絶妙にいい溝になっていて、子どもたちの遊びは大盛り上がりしていた。

カーテンレールを遊びに使う発想には驚いたけど、どんぐりが転がるようすに、“なるほど”と思ってしまった。

違った素材で見つかるたのしさ

いつもは小麦粉か米粉のどちらかの粘土を一種類用意して遊んでいるけれど、この日は材料が足りず小麦粉と米粉2種類の粘土を作ることに。

それぞれの粘土を触って、「こっちはふわふわ」「こっちはもちもち」と感触の違いを楽しんでいる様子の子どもたち。小麦粉は伸びやすいとか、細長くしやすいなど素材の違いを分かっている2歳の女の子、米粉粘土のちぎりやすさを気に入って、山のようにたくさんちぎって楽しむ男の子など…。

たまには違う素材を一緒に出すのもいいもんだなぁ…という気付きがあった。

“ことば”で変わった、気持ちの一歩

自分で「決める」ということがなかなか難しい子。
朝の活動で楽器が2つあり「どっち?」と聞いても困った顔をして、「わからない」「決められない」と答えていた。でも、置いておくと自分で選び、選ぶ力は持っているんだと思っていた。

いろいろな工夫を経て「とって」という言葉に変えてみることに。すると一つを選び決めることができその後もスムーズになった。「どっち?」だと悩ましかったようだが、「とって」はその子にとって行動につなげるのに、分かりやすいことだったよう。 

“ことば”の違いで、その子にストンと落ちる瞬間があるのだなと思い、その子も自分もスッキリした経験だった。

***

今回載せきれなかったのですが、他にもスポンジ、高さ、音、感触、色など、子どもたちの姿から取り入れたら、こんな変化が…!というエピソードがたくさん出て、保育者のとっさの行動や意識、環境構成でいろいろな方向に子どもたちの関心や遊びが広がっていくんだな…と新たな気付きがたくさんの3回目のセッションでした。

・道具って(ハエたたき、受話器、スプーンなど)素材や形に意味があって、人がどんな風に使えばいいか想像させるようによく作られているよね。
・素材の違いを比較するって大人でも面白いかも。醤油一つとっても関東と九州で違うので、それを同時に比べられるって楽しい。
など…。
子どもを真ん中に話しつつも、大人もわくわくしたり、心がほぐれたりするような時間になりました。

ぜひ読者のみなさんからも、「取り入れたらこんな変化があった“モノ”・“コト”」があったらお寄せいただけたらうれしいです。

それでは、次回のあそび探究室レポートをおたのしみに・・・!