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【小学館せんせいゼミナール】乳幼児の心の基盤づくり〜発達とアタッチメント入門〜

掲載日:2023/12/06
お申し込み終了
開催日
2024年3月18日(月) ~ 2024年8月19日(月)
時間
19:00~20:30
場所
オンライン
参加費
【個人申込】各回2,500円(税込)/1名、【団体申込】各回7,500円(税込)1園 ※セット割引(期間限定販売)あり

内容

アタッチメントとは、乳幼児期に特定の大人と緊密な関係をもつことです。
子どもが大人にくっつくという、当然に見られる行動の質が実はその後の発達や、人生に大きな影響を及ぼします。
保育の現場でもよく耳にする言葉かと思います。

今回はアタッチメント研究の第一人者である遠藤利彦先生に、最新の知見を踏まえ、あらためてその重要性についてじっくり解説していただきます。

赤ちゃんの脳を知ることは、ヒトの不思議にふれることでもあります。
そして研究から見えてきた、本来の子育て・保育の在り方について考えていただけたらと思います。

プログラム

<第1回>
他者との関係の中で育つ子ども

ヒトの子どもは生物学的に見ると、とても未熟で脆弱な状態で生まれてきます。周囲の大人からの配慮、そしてその大人との緊密な関係なくしては、生存し成長することはできません。とりわけ、怖くて不安になったときに、しっかりとくっついて確実に安心感を得られる他者との関係(アタッチメント)は欠かせないものです。この回では、まずはアタッチメントとは何か、なぜ大切なのかについて概説します。

<第2回>
アタッチメント:生涯にわたる幸せの揺りかご

 現在、世界ではさまざまな目的をもった長期縦断研究が展開されています。そうした研究を通して、乳幼児期にどれだけ自然で安定したアタッチメントを経験できているかということが、その後の生涯にわたる心と身体の健康、あるいは幸せの形成に深く関係しているということが明らかになってきています。
この回では、縦断研究の中でも、「剥奪研究」(普通だったら経験できて当たり前のことが奪われてしまったときにその後、何が起きるか)と「介入研究」(普通だったら経験できないようなことを経験させてみたら、それがその後、どんな効果をもたらすか)の代表的なものにふれながら、アタッチメントのきわめて重要な役割について解説します。

<第3回>
アタッチメントと「安心感の輪」

安定したアタッチメント経験の蓄積は「何かあったらあの人のところに行けば大丈夫」という見通しを子どもにもたらします。そして、その見通しが成り立つとそれに支えられて子どもは積極的に探索を行い、いろいろなものにチャレンジすることができるようになり、徐々に「一人でいられる力」を身につけるようになります。こうした発達のプロセスにおいて、大人は、子どもにとっての「安全な避難所」と「安心の基地」としての役割をバランスよく果たすことが重要です。子どもは怖くなり不安になると「避難所」に戻り、元気を補給すると今度は同じ人を「基地」にしてそこから好奇心の塊になって駆け出していくのです。これらのことが、日常、何回も繰り返される様を「安心感の輪」と呼びます。この「安心感の輪」がスムーズに回っていることこそが、子どもの健やかな発達の鍵になることについて説明します。

<第4回>
「情緒的利用可能性」と自発的遊びの大切さ

子どもが「安心感の輪」を安定して回るためには、大人が「安全な避難所」と「安心の基地」として機能する必要があります。そして、その際に、大人が持っておいて然るべき心構えに「情緒的利用可能性」があります。それは、子どもが恐れや不安などの感情を経験し、何かシグナルを発信してきたときに、子どもにとって「大人はちゃんと情緒的に利用できる存在である」ということを強調する考え方です。逆に言えば、子どもが特にシグナルを発信していないのであれば、あえて子どもの活動に踏み込まないでいることを良しとする考え方です。この回では、この「情緒的利用可能性」について解説するとともに、それとの関連で、アタッチメントと子どもの自発的な遊びとの関連についてふれ、「孤独な科学者としての遊び」と「社交的な法律家として遊び」を両輪として、子どもの真に大切な学びが可能になることについて説明します。

<第5回>
アタッチメントの個人差と養育環境

子どもは親を選べません。親が自分を受け容れてくれないような場合でも、その親の下でしか生き延びていけません。
こうした事情により、親がどう応じてくれるかに合わせて、子どもが徐々に自身のくっつき方を調整し、かろうじて何とか安心感を維持しようとします。そして、そこにアタッチメントの個人差、言い換えれば「安心感の輪」の回り方の違いが生じてきます。この回では、どのような親子関係の下で、いかなるアタッチメントの特徴が生じ得るかについて、いわゆる「アタッチメント障害」にもふれながら説明を行い、加えて不適切な養育(虐待やネグレクト)がいかにアタッチメントを歪ませ、子どもの心身の発達を揺るがすことになるかに関しても言及します。

<第6回>
家庭と園:二つの社会的世界に生きる子ども

現代の日本においては、多くの子どもが早くから家庭と園という二つの社会的世界にまたがって生活し、成長します。二つの世界は一方で緊密に結ばれていながら、子どもにとってそれぞれ独立した異質な世界でもあり、園という集団状況で、子どもは家庭では得られないさまざまな成長の機会を得ます。
そして、そこには、家庭での親子という関係でのアタッチメントとは違ったアタッチメントの在り方が求めらます。この回では、この集団状況でのアタッチメントの在り方について説明を行い、その中で、子どもが特に園生活を基盤にどんな力を身につけることになるかについてふれます。また、加えて、元来、ヒトという生物種における子育ては、血縁・非血縁、実に多様な他者によって支えられる「集団共同型子育て」であったことについて言及し、現代社会では、園が中核となった新しい「集団共同型子育て」の形や仕組みが求められていることについて一緒に考えてみましょう。


講師プロフィール

遠藤利彦(えんどう・としひこ)

東京大学大学院教育学研究科教授。
東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を兼務。専門は発達心理学、感情心理学。

おもな著書に『赤ちゃんの発達とアタッチメント』(ひとなる書房)、『「情の理」論』(東京大学出版会)、『入門アタッチメント理論』(編・日本評論社)などがある。


概要

乳幼児の心の基盤づくり〜発達とアタッチメント入門〜(全6回)

講師:
遠藤利彦先生(東京大学大学院教授)
対象:
保育士、幼稚園教諭、小学校教師、保護者のほか、子育てに関心のあるどなたでもご参加いただけます。
参加方法:オンライン
参加費:
【個人申込】
・各回2,500円(税込)/1名
・第1•2•3回セット6,600円(税込)/1名 
・第4•5•6回セット6,600円(税込)/1名 
【団体申込】
・各回7,500円(税込)/1園
・第1•2•3回セット19,800円(税込)/1園 
・第4•5•6回セット19,800円(税込)/1園 


開催日時・テーマ

  • <第1回> 3月18日(月)
    他者との関係の中で育つ子ども
  • <第2回> 4月22日(月)
    アタッチメント:生涯にわたる幸せの揺りかご
  • <第3回> 5月20日(月)
    アタッチメントと「安心感の輪」
  • <第4回> 6月17日(月)
    「情緒的利用可能性」と自発的遊びの大切さ
  • <第5回> 7月22日(月)
    ※アタッチメントの個人差と養育環境
  • <第6回> 8月19日(月)
    家庭と園:二つの社会的世界に生きる子ども

・開催時間は各回19:00~20:30です。
・各回ともライブ配信日から2週間の見逃し配信付きです。
・各回ごとに独立したテーマとなりますが、全6回続けての受講をおすすめします。

申込締切

・第1回、第1•2•3回セット→3/16(土) 18:00
・第2回→4/20(土) 18:00
・第3回→5/18(土) 18:00
・第4回、第4•5•6回セット→6/15(土) 18:00
・第5回→7/20(土) 18:00
・第6回→8/17(土) 18:00


「せんせいゼミナール」とは…

「せんせいゼミナール」は『教育技術』および『新 幼児と保育』を刊行してきた小学館がプロデュースする、幼保・小の保育者と教師のための研修講座シリーズです。
信頼できる専門家や実践者を講師に迎え、先生方の悩みや学びたい気持ちに寄り添う講座をお届けしていきます。

https://kyoiku.sho.jp/senseiseminar/


「せんせいゼミナール」とは…

「せんせいゼミナール」は『教育技術』および『新 幼児と保育』を刊行してきた小学館がプロデュースする、幼保・小の保育者と教師のための研修講座シリーズです。
信頼できる専門家や実践者を講師に迎え、先生方の悩みや学びたい気持ちに寄り添う講座をお届けしていきます。

https://kyoiku.sho.jp/senseiseminar/



主催者

小学館教育編集室
小学校教師向け『教育技術』、保育者向け『新幼児と保育』ほか、種々の教育書を発行。Webメディア「みんなの教育技術」「みんなの幼児と保育」も運営しています。これまで培ってきた知見とネットワークを活かして、信頼ある専門家や実践者による講座を展開していきます。

https://kyoiku.sho.jp/

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