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これって、我慢しなくちゃいけないの?気になる、みんなの職場事情〜新 幼児と保育 × ほいくるコラボアンケート結果より〜

掲載日:2019/10/04
これって、我慢しなくちゃいけないの?気になる、みんなの職場事情〜新 幼児と保育 × ほいくるコラボアンケート結果より〜

人と関わる、保育の仕事。
だからこそのチームワークの楽しさややり甲斐もあれば、反対に人間関係で悩むことも…

人間関係で悩むのであれば、職員間ではなく子どもとの関わりに時間を使いたい…!
そんなふうに感じる方も、少なくないかもしれません。

2019年7月にほいくるユーザーの皆さんに実施した、職場の「人間関係」に関するアンケート。
今回、その回答結果を通して、保育現場の職場事情を読み解いていきたいと思います。

アンケート期間:2019年7月24日〜29日
有効回答数:445件

職場で言われたことで「これって我慢しなくちゃいけないの?」と思ったことはありますか?(ここ3年くらいの間)

9割近くの方が「経験あり」と答えています。
どの役職の働き方であっても「ある」と答えた人が、まんべんなくいました。

・園長に「上のやり方に従えない人は辞めればいい」と言われた。

・園長に「定時に帰ろうと思ってるの?(仕事があるんだから定時に帰れるわけないでしょ)」と言われた。

・行事の後のご飯会(打ち上げとはちょっと違う堅苦しい雰囲気)で、日付が変わるまで拘束される(施設長の気が済むまで解散できない)。

・仕事の難しさを問題提起すると、主任をはじめ先輩の先生方から「今まで、それでやってきた」と言われ、自分のスキル不足が原因だと言われる。それを言われると、もう何も言えなくなってしまう。

・フリー保育士なのに、男性というだけで、0,1歳クラスの先生が休みでも、2〜5歳クラスの補助しかさせてもらえない。

・園長や職場の先輩に言われた、「あなたは工作も絵も上手だから美術担当ね」。
これによって、全ての季節やイベントの壁面や発表会、卒園式の大きな背景の製作を任された。

・保育士歴10年の先輩に、クラス運営において、私が必死に考えてやっていっていた事を「こんな無駄なことして、バカじゃないの」と間接的に言われた。


いやだなと感じることを言われたり、されたりした時、誰かに相談しましたか?

特に多かったのが「先輩」や「同期」に相談する、という回答。
それぞれ、全体の3割を超えていました。

(先輩)
・日々保育の相談にのってくれる、私の性格を理解し私にあったアドバイスをくれる、否定しないで話を聞いてくれる。

・私の仕事量の多さや、私が鬱病になったことに気づいて一番最初に声をかけてくれた方だったから。

(同期)
・今まで支えあってきて、一番の理解者だから。

・同期は状況も同じで、共感したりすることができ、気持ちが楽になるから。

・相談と言うより愚痴。一番話しやすいから。


次に相談する相手という回答が多かったのは「理事長・園長先生」や「主任」。
それぞれ全体の1.5割ほどと「先輩」や「同期」には及びませんでしたが、

・誰に言ったら解決されるのかわからないので、(理事長・園長先生、主任、 先輩、 同期)みんなで話をした。

・園長に直談判に行きました。理由は一番偉いから。

・主任の先生はこれまでの経験が豊富なため、的確なアドバイスをくれるから。

といった回答のように、職員やスタッフ間のトラブルや問題を、立場が上の人たちに入ってもらうことで解決へ導きたいという目的を持って相談する人が多いように見受けられました。

また「職場の人に話しても堂々めぐりになるだけなので、法律に詳しい友人に」「職場の人だと、どこから漏れるか分からないから」といった理由で「家族」や「友人」に相談する人、
「(職場に)相談できる人がいない」「相談しても悪化する一途だと思った」という理由で相談することをためらったり諦めたりする回答もありました。


最近では「ハラスメント」という言葉もよく耳にしますが、保育の現場のリアルはどうなのでしょう?
我慢しなきゃいけない場面って、やっぱりあるの?
困ったことがあった時、みんなはどうしているの…?

現場での体験や様子を、たくさんの方が答えてくれました。

職場でハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)にあった、あるいは見聞きしたことがあれば、具体的に教えてください。

約半数が「ある」と答えています。
最初の質問に比べると、該当者は減りますが、最初の回答の中にも「ハラスメント」と思われるものが含まれていました。

・主任が「新人なんだから、他の人の仕事を手伝いなさい」といって自分の仕事を新人にやらせる

・同期が園長に「この業務が大変なので…」と改善案を提案したところ、「それは先生の力量の問題だろ。みんなやってるんだから、そのままやれ」と怒鳴られていた。

・園長が男性職員に対して「男性保育士は気を利かせないと保育現場では嫌われる」と発言したこと。

・本部に対して、ストレスチェックの解答欄で、現状の職場の問題を上げた際に、その回答に不満を持った主任が、みんなを集めて犯人探しをした。
(こういうことを書くものでは無い。何でもかんでも書けばいいものではないといって、その内容を読み上げ、職員の顔色を伺っていた。)

・仲のいい同期は「子ども作るなら早めに言って。正規なんだから産休だって時期を選んでね」と言われていた。

・先輩が、園長から仕事が遅いことを理由に「担任辞める?」みたいな事を言われていた。

・園長が職員に、勤務時間が終わったのに「もう帰るの?早いなぁ」と言う。

・自分の娘の園の行事に行くために休んだら、副主任に「それくらいじゃ今までは誰も休んだこと無いよ。甘えている」と言われた。

・理事長が自分に対し「何もこの園にいなくても、もっと他にも保育園はあるし、正職募集してる所あるんだから受ければいいのに」と言った。

ハラスメントをする相手(加害者)として多くあがったのは「園長」「理事長」「主任」など、回答者より職場での立場が上の人たち。

給与や待遇、休暇など労働条件や環境を脅かすような高圧的な言動、妊娠・出産・子育てとの両立など女性のライフステージに対しての心無い発言や対応も目立ちました。

職場で立場を超えてお互いに気持ちよく働けるようにするために、大切だと思うことがあれば、教えてください。

当事者じゃなくとも、いろいろな感情がこみ上げてくるような回答がたくさんありましたが、最後の質問は、

「どんなふうに変われば、現場で気持ちよく働くことができるんだろう?」。

現場での立場や世代、雇用形態、考え方もさまざまなご意見をご紹介していきます。

・お互い指摘や指導は必要だが、できているところは認め合い褒めていくことも大事。また、間違っていたら年齢関係なくきちんと謝ることも。

・付かず、離れず、プライベートには踏み込まないで仕事相手として付き合う。

・社会人としてはマナーや報連相は必須だが、保育では同じ土俵に立っているという意識を持つこと。現場で遠慮はいらない、子どものためになることはお互い話して高めていこうという姿勢。

・意見を言うことができる雰囲気。若い人の意見も聞いてほしい。

・世代、年代を越えて、今の時代をしっかりと見つめ直し、今に合った職場作りをしていかないといけない。昭和の善きところ。平成の善きところ。を持ち込んで、善き令和の時代でありたいです。

・共通意識。園やクラスの方針に同意して協力して運営すること。

・新しい保育に敏感になり吸収していこうとする気持ちを持つ。また、そのような機会を作っていく。

・仕事に見合った報酬

・人は皆、違う考えを持っているということを知り、互いに相手の考えを認めた上で議論できる環境があること。

・『自分だけ』『相手だけ』『先輩だから』『後輩だから』だけではダメだと思う。お互いが譲り合ったり、協力しようとする気持ちを持たないといけないと思う。

・園外の介入が必要。縦社会になりがち、男女比も偏ることが多い環境なので園内で発生することを公平に判断することが出来る存在が必要。  

・ネガティブな言葉を使わず、ポジティブな言葉で会話をする。

・相手の立場に立って考えること。ひどいことを勢いで言ってしまうこともあるかもしれない。でも、思い返して悪かったと思ったらちゃんと謝ったり誤解をといたりしてほしい。特に保育の場は職員同士の協力が大事だと思うので。

・ベテランの先生、若い先生に関わらず、お互いを認めていき、否定的な言葉ではなく肯定的な言葉で伝えていくことが大切だと思う。こうしたほうがいいと思うことがあれば、肯定的な言葉で伝えあい、より良い保育につなげていくことが大切だと思う。

・コミュニケーションを常に保ち、自分がどんな人なのか、周りに徐々に伝えていく。

・クラスの状況などすべて、その日あったことを僅かでも伝え合うことができるのが理想です。 

・保育士の充分な人数確保。保育士の仕事内容の明確化 

このアンケートは、小学館『新 幼児と保育』2019年10/11月号内“保育現場に潜むハラスメント”とのコラボ企画としてほいくるユーザーのみなさんに実施したもの。

アンケート結果をきっかけに、次回以降、“自分がハラスメントをされてしまったとき”の対応方法や、自分が加害者になっていないかの自己診断チェックなど、専門家の解説や具体的なアドバイスを連載でご紹介していきます。
どうぞお楽みに。





この記事の連載

第1回 職場に、ハラスメントが潜んでいる…?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

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通称「ハラスメント防止法」が可決され、大企業は来年4月、中小企業は2020年4月までに防止策を講じることが義務となりました。
保育園、幼稚園も例外ではありません。

ほいくるで実施した皆さんからのアンケート結果を踏まえ、全国各地で企業や保育者向けにハラスメント防止研修を行う専門家に、現状の問題点や、防止の手立てをうかがいます。

この連載は『新 幼児と保育』2019年10/11月号“保育現場に潜むハラスメント”記事とのコラボ企画で、4回にわたってお届けします。


第2回 ハラスメントが起きてしまったら…どうすれば?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

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残念ながら、もしハラスメントの被害に遭ってしまったら…?
今回は、そんなときの対処のしかたを、専門家にうかがいます。
この連載は『新 幼児と保育』2019年10/11月号“保育現場に潜むハラスメント”記事とのコラボ企画で、4回にわたってお届けする連載、第2回です。


第3回 「パワハラ」といわれない指導のポイントは…?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

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「後輩のために」と思って伝えた注意が「パワハラだ」と受け止められてしまったら…?
あるモデルケースをもとに、専門家といっしょに考えていきましょう。
『新 幼児と保育』2019年10/11月号“保育現場に潜むハラスメント”記事とのコラボ企画で4回にわたってお届けする連載、第3回です。


第4回 気づかないうちに加害者に?!ハラスメントをしないための自己診断【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

第4回 気づかないうちに加害者に?!ハラスメントをしないための自己診断【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

自分ではそんなつもりはなくとも「ハラスメント」になってしまう習慣や対応があるかもしれません。
まず「自己診断シート」で、チェックしてみませんか?

『新 幼児と保育』2019年10/11月号“保育現場に潜むハラスメント”記事とのコラボ企画で4回にわたってお届けする連載、第4回です。