保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

「日本独自の文化を伝えたい」ーStarchild(アメリカ・ニューヨーク)

三輪ひかり
掲載日:2016/05/31

保育園経営に至った「きっかけ」は?


2000年に、ディレクターを務めている吉田が「音楽教室」を、わたし(向井)が「塾」をそれぞれマンハッタン内で始めたのがきっかけです。

ジャンルは違いますが、同じ時期に日本語で子どもの教育について始めるというところが共通していたので、その後自然と知り合いになり、3年前に一緒にStarchildを立ち上げることになりました。

なぜ保育園というかたちをとったかというと、現地にいる日本人の方々からの要望が強くあったというのも理由なのですが、元々吉田がやっていたクリエーションである音楽、私がやっていたラーニングの塾以外に、他に子どもたちにとって大切なことはなにかを考えた時に、「遊びを通して友情を育むという経験」が大切なのではないかという思いに至ったから。

そこから、『遊・創・学』この3つの柱を基盤に、心の中に響く教育を子どもたちに届けたいと思うようになり、日本式保育園、音楽教室、週末の補習塾寺子屋の3つを柱に、子どもの育ちをサポートしています。

アメリカで、日本式保育を行っている理由


今Starchildに通っている子どもたちは、両親共に日本人の子、片親が日本人の子、両親共にアメリカ人の子がいて、子どもたちは肌の色もお家で喋ることばや文化も違います。
でもみんな共通しているのは、ご両親が日本の文化が好きだということなんです。
その親御さんたちの気持ちを、Starchildではサポートしたいと考えています。

アメリカという国に住んでいるので、当たり前なんですけど、普段生活しているなかで日本語に触れる機会や日本の文化を体験する機会って本当に少ないんですよね。
子どもたちのなかには、お家ではイングリッシュオンリーの子もいます。

だからこそ、園のなかでは、「日本らしさ」を日本の保育園や幼稚園以上に大切にして、日本語オンリーで過ごせる環境を作ったり、日本独自の文化を大切にするようにしています。

子どもたちはどうやって日本語を覚えていくの?

子どもたちが遊びながら学べるひらがな表


子どもたちの吸収力や順応性には毎日びっくり驚かせてもらっているのですが、他の友だちとのやり取りや、うたを歌ったりするなかで、子どもたちはどんどん自然と日本語を覚えていきます。

でもやっぱり、日本語を聞く量は圧倒的に少ないので、子どもたちの語彙も少なくなるという課題はあります。
そのため私たち保育士は、いろいろな言葉を使うことを意識しています。

たとえば、お昼の時間に全部食べた子どもがいたら、「ぜんぶ食べたね」だけではなく、「完食したね」とか様々な言い回しをするようにしています。

お部屋のなかにある、たくさん日本語の絵本たち

日本と海外で先生をやってみて、違いは?


わたしは元々、日本の幼稚園で6年、その後中国の日系幼稚園、そしてアメリカの日系幼稚園で働いてきました。日系の保育施設でしか働いていないというのも理由かもしれませんが、大きな違いは感じません。
ですが、今改めて日本の幼稚園を思い返してみると、日本ってすごく恵まれていたなぁと思います。

中国の保育園で働いているときは、少し田舎のほうにある保育園だったということもありますが、折り紙一枚集めるのも大変だったので。

そもそもあなたにとって「保育」とは?

そもそも保育っておうちではできない、集団のなかでの子どもの心の成長がある場所。
他人と関わることで心も体も成長していくものだと思います。

将来、子どもが大きくなったときに「自分ってハッピーだな」と思える、その礎、基礎を育むためのお手伝いをするところでありたいですね。

Starchildのみなさん、ありがとうございました!

もっと話を聞いてみたい方、「Starchild」に興味を持たれた方は、ぜひこちらのリンク先をご覧くださいね。
(現在日本からの保育士募集も行っているそうです。※2016年5月26日現在)

Starchild : http://starchildny.com/



(取材:三輪ひかり)