フローレンス駒崎さんが考える「保育士処遇問題」に対して、保育士ひとりひとりができること<後編>
保育士ひとりひとりができること



ずばり、保育士ひとりひとりができることってなんなんでしょう?


そうですね。
実はですね、僕らには先人がいて。看護師業界を見習うべきなんですよ。


看護師業界ですか?


はい。実は看護師も1970年代処遇が低かったんです。
そこで新潟のある病院の看護師さんたちが立ち上がって、ストしたんですよね。もう絶対働かない、夜勤入らないみたいなね(笑)。
その動きが全国に広がって、看護師の処遇をあげようというムーブメントを作っていったんです。
だからまずは、自分たちがどんな立場におかれているのか知ること、そして声をあげること、それがすごく大切だと思います。


声の上げ方って、難しいですよね。
でも私はまずは知ることから、というのを大切にしています。
特に制度のことなどは、なんとなく分かったつもりでいてしまっていたから、きちんと理解したいと思っています。
ただ、正直調べてもよくわからないこともたくさんあって(笑)!
そう思っている保育士さんって多いんじゃないかなと思います。


そのためにぼくのブログがあるんです。
みなさんに広く知ってもらえたからこそ、わずかですが保育士の給料が2.1万円あがったり、土曜日は共同保育ができるようなったりしたのだと感じています。
「知る。そして言う」ということをすれば、多少なりとも変わっていく。
微力だけど、無力じゃないと思うんです。
*駒崎弘樹(こまざきひろき):認定NPO法人フローレンス代表理事
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、「地域の力によって病児保育問題を解決し、子育てと仕事を両立できる社会をつくりたい」と考え、2004年にNPO法人フローレンスを設立。日本初の「共済型・訪問型」の病児保育サービスを首都圏で開始、共働きやひとり親の子育て家庭をサポートする。2007年、ニューズウィーク「世界を変える社会起業家100人」に選ばれる。2010年からは待機児童問題の解決のため、空き住戸を使った「おうち保育園」を展開し、政府の待機児童対策政策に採用される。2012年、一般財団法人日本病児保育協会、NPO法人全国小規模保育協議会を設立、理事長に就任。現在、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員等を務める。著書に『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(英治出版)、『社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門』(PHP新書)『社会をちょっと変えてみた』(岩波書店)等。一男一女の父であり、子どもの誕生時にはそれぞれ2か月の育児休暇を取得。
*雨宮みなみ(あめみやみなみ):こども法人キッズカラー代表。中学生時の職業体験で、自然と自分が笑顔でいられる保育の世界に魅了され、保育士になる事だけを目指し20歳で保育園に就職。保育の現場で感じた保育士の不安や負担を楽しさに繋げたい、という想いから2010年にキッズカラーを設立。同年HoiClue♪をスタート。2014年に第一子を出産し、一児の母でもある。