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「みんな違ってみんないい」ー麦っ子畑保育園(神奈川県座間市)

ほいくる編集部
掲載日:2015/07/03

麦っ子畑保育園は大家族のようなところです。
土と木で作られた築60年近い民家で0歳から就学までの乳幼児が過ごし、隣の学童保育では小学生(6年生まで)が遊んでいます。

保育士やキッチンで働くスタッフさんは20代~60代まで幅広く、無添加・無農薬野菜を届けてくれる八百屋さんも子どもたちと仲良し。
昔の路地裏のような、いろいろな世代の人が交流する「場」であることを大切にしています。

毎年行われるOB会の合宿には、毎回小学1年生から30代の大人まで多くの方が参加するそうです。

学童保育合わせて100名の子どもたちを、20名のスタッフで見守っています。

大島園長の写真
子どもたちから「みこべ」の愛称で親しまれている大島園長

麦っ子畑保育園を始めたきっかけは?

複数の保育施設で働いていたのですが、新人の頃は園の方針に意見があっても言える環境ではなく、はがゆさを感じていました。

障がい児の受け入れに関して園の先生と意見が合わず、心身的に参ってしまい退職し、その後、保育園に入れなくて困っているお母さんに出会いました。「必要とされるなら」との一心から自宅でその子を預かりだしたのが、麦っ子の始まりです。

多くの保育園では、障がいのある子どもの受け入れを歓迎しない風潮があって、“健常児に迷惑をかけない程度の障がい児”しか受け入れが難しい現実を見てきました。
でも社会に出れば、自分に都合のいい人ばかりではない。
子どもを分けずに、どんな子が居ても当たり前だと思える環境を小さい頃から知って欲しい。そんな想いから、麦っ子では基本的にどんな子でも受け入れています。

前例が無ければ、親御さんと保育園のみんなで一緒に考える。
やり方は必ずあるはずなのだから。

子どもたちと過ごす中で、大切にしていることは何ですか?

困っている人、弱い人の気持ちに寄り添うこと、そして人の話を聞くことは子どもたちも私も常に気を付けています。

学生時代の保育実習で、最重度といわれる障がい児の療育施設に行ったことがありました。
肢体不自由で目も耳も聞こえない幼児を担当することになって、どうしたらいいか分からなくて困惑しました。
どんな方法でコミュニケーション取ったらいいか見当もつかなくて…。

しばらく経って、抱っこしながら歌っていたら、その子が私の口元を探して、手をのばして体をゆすってくれました。
歌う時の呼吸をその子が感じて、コミュニケーションが取れたのです。
一緒に同じ時間を過ごせた手ごたえがありました。

その時から私は「どんな子どもでも必ず伝わる」と確信しています。

園内で遊ぶ子どもたちの様子
仕切りがなく、大きな空間が広がる板張りの園舎内